ぼちぼち



「ん、箸」
マイ箸と一緒にしもてた、もう一組の箸を渡す。飯の度に和歌山へ貸してる箸――名付けて和歌山箸や。
「え、あ…いつも悪いなぁ」
「ええよ。美味い言うて食べてくれるん嬉しいしな」
いつやったかなぁ。
和歌山の好物食べる時の顔が、見とってこっちが幸せになるくらい幸せそうなんに気付いた。そういう顔を見るのが楽しくて、作る手にもついつい気合いが入る。
他の奴らは反応薄いねん。つまらんやん。徳島はグループ違うからあんま会えんし。


「ほんならパン1個やるわ。どっちがええ?」
コレもすっかりお約束。オレは余分めに弁当作って、和歌山は1コ余分にパンを買う。で、お互い交換。
学生気分っつーやっちゃ。
…今いくつやねん!とか言うんは野暮やぞ?
今日のパンは…お、右のん前に和歌山が食いたい言うとったヤツやん。確かレギュラー商品の期間限定版よな。
「ん〜…こっちがええ」
普通は残してやるモンやろうけど、ここはあえて食いたがってた方を取る。
イケズ? ちゃうちゃう。

「あ…お、おう…」

この困った顔がたまらんねん。めっさオモロいやん。
イジメっ子? ちゃうて。
何か周りにそんなんばっか言われるけど、イジメてはない。たまにイジるけどな。イジりは愛や。コミュニケーション、コミュニケーション。



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