ぼちぼち



「わえに可愛ぇて…おまん、頭でも打ったんか?」
「酷ないかソレ」
「すいなこと言うからやろ〜」
ビックリしたわぁ、と何事もなさげにカラカラ笑う和歌山を見て、正直ホッと胸をなで下ろした。男に面とむかって「可愛ぇ」はきしょいよなぁ。


「今日はあったかいし、あの木の下にしよ」
中庭の外れにあるデカイ木を指差して、和歌山は小走りにそっちに近付いていく。何や犬みたいやなぁ、なんて思いながら後を追って、根元に座り込んだ。
茶飲んで一息入れた所で、弁当箱を出して蓋を開ける。
「おわー…相変わらず豪華な弁当やね」
「ふふん。食は万事の源やからな」
今日のメニューは巻き寿司祭り。
ベーシックな巻き寿司から、カッパに鉄火にお新香、ネギトロにサラダ巻きまで思い付く限りのネタを入れてみた。まぁ、流石に贅沢しすぎて今晩は茶漬けやけどな。
そんなんええねん。今、この時に豪華にすんのに意味がある。

「朝っぱらからそんなエラいモン作る気力あるか…おまん、ホンマに恐ろしな。色んな意味で」
そんな事を言いつつ、和歌山の視線はガッツリ巻き寿司の上。
ふふん、今朝のマグロは活きええで〜!
魚好きなコイツが食い付くのは知っとるし、あえてそうなりそうなメニューばっか作っとる。
凄いて言われんの、気持ちええやん?



[*前] [次#]
[戻る]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -