ぼちぼち



マイペースな奴が多い定例会だが、彼の人はその中でも抜きん出たマイペース。プライベートならまだいいが、パブリックでは俺の胃に大打撃を与えてくれる。
そう、まさしく今みたいに。


「あ〜みんな居るね〜はいさ〜い☆」


妙に間延びした声に部屋中の視線が入り口へ向く。その先に立っていたのは、少し日焼けした小柄な男――沖縄だ。
スーツの胸ポケットに差したハイビスカスを揺らすソイツに思わず掴みかかる。
「お早くない! 会議の時はうちなータイムを使うなとあれほど…!」
「使ってないさー! ちょっと寝坊しただけよぉ」
寝坊も真っ当な理由になどならないが、それでもマシだと思われるのが沖縄クオリティ。うちなータイムで1時間家の前に待たされた時の衝撃は未だに忘れられない。

だがしかし、この悪びれなさ加減は頂けない。巧みにルールを使い分けて生きている県民を見習え、沖縄。
ズキズキ痛む胃に活を入れながら、冷静に冷静にと自分へ言い聞かせる。こういう手合いにはピリピリしたってキリがない。対症療法ではなく根本的な治療だ。

「…で、何時に起きるつもりだったんだ?」
「ん〜…」
天井に視線をさまよわせて考える仕草をする沖縄。段々嫌な予感がしてくるのは気のせいであってほしい。
「てーげー☆」
あぁ、やっぱり……
キリキリ痛む胃を押さえて、思わず机にもたれかかった。

「ぷ、自分それ意味無いやんけ!」
「フリーダム過ぎじゃぁ、沖縄〜」
ケラケラと響いた大きな笑い声を皮切りに、ドッと笑いが起きた。
……主に西日本の奴らだがな。
「…ホント…コイツら死ねばいいのに…」
ギリギリと痛む胃を宥めながら、ギャーギャーと騒ぐ面子を見て大きな溜め息を吐いた。


はは…まだ点呼なのにな…

今日の定例会も、まだまだ先は長い…



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