ぼちぼち




「…時間だな。では、定例会を始める」

トントン、と目を通していた書類を揃えて、傍らに置いていたファイルを開く。『定例会議事録』と書かれたそれには出欠表から議論内容まで、様々な記録用紙がまとめられている。
それに毎回の記録をしていくこと。
それが俺――定例会議長、東京の役目だ。


「出欠を取るぞ。北から」
パラリと名簿のページを開いて、ペンで右手前に座っている奴を指す。デコボコした座高の中で一際体の大きなソイツは、ニコニコしながら手を挙げた。
「北海道、出席だよ〜」
「宮城も出席だ」
左隣の奴もスッと手を挙げる。
それを確認して、ペンで出席欄にチェックを入れた。その下にある自分の名前も一緒に。
「東京、出席…っと」
「当然、神奈川も居るぞ」
書き終わったのを見計らった様なタイミングで、宮城の隣に座っていた神奈川が勿体付けた仕草で手を挙げる。最後にパチンとウインク付きで。
…以前からだが、コイツの気障な仕草はどうにかならないものか。二次元ならともかく身近だと意味無く痛い感じがする。

はぁ、と溜め息を吐いて神奈川の隣に座る茶髪に視線を向けた。
「ん。愛知出席」
珍しくアイコンタクトが成功したらしく(普段の成功率は皆無に近い…)、良いタイミングで返事が帰ってきた。
その成功に内心感動しながら、ヒラヒラと手を挙げる愛知を見る。するとその左隣も、眼鏡のブリッジを直しながらすぐに続けた。
「長野も出席」
清々しく良いテンポだ。願わくばここでキリよく終わってしまいたい。


………が。


まぁ、現実はそうもいかないワケだ。



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