ぼちぼち



「ううう…せ、せやったら何やねんな!」
長い沈黙にいい加減しびれが切れて、滋賀の問いに乗ってやる事にする。
別に大阪がどうとか思っている訳では断じて無いが、YESと言わなければ延々この話を振られる事が想像に難くないからだ。
す、好きちゃうて断言すんのも…何となく…アレやし。
もぞもぞした気分を引きずりながら相手の様子を窺うと、何とまぁ見事な笑顔に変化していた。
「やんなぁ〜そんな和歌山に頼みがあんねん」
「頼み…?」
滋賀の頼みごと。
何となく、嫌な予感がするのは気のせいだろうか。


「うん。はよ大阪とくっついてや」



ぴたり、と時間が止まった。



「…は?」
言われた内容がイマイチ理解出来なくて、思わず聞き返した。
自分の耳がおかしくなってきたんだろうか…と。
けれど滋賀はニコニコ人懐こい笑顔のまま繰り返す。
「だから。はよ大阪と」
「いやいやいや! 何でそんなん言われなあかんねん」
相変わらず突拍子もない事を言い続ける滋賀にストップをかける。
どう考えてもこの流れはおかしい。
何を思ってそんな事を自分に言う展開になるのかが全く理解不能だ。

そんな和歌山の思考を察してか、すっかりいつもの雰囲気に戻った滋賀はぷうっ、と頬を膨らませる。
「だって京都はん、大阪と仲ええねんもん。間違いがあったら嫌やん」
「ま、間違いておまん…」
拗ねた子供っぽい表情から飛び出した言葉に、今度は和歌山が呆れた声音を出す番だった。

「だって。いくらボクが京都はんと家近かったり同じ新聞取ったり食事時お邪魔したり後ついってったりしても、すぐ大阪ー大阪ーて言いはるねんで。ひどない?」
「おま…ストーカー寸前やろそれ…」
家が近いのは知っているが、後半につれて色々マズい事になっている気がするのは思い過ごしなんだろうか。特に京都の場合。
あと大阪とよく組んでるのは定例会や経済圏を考えると仕方ないと思うのだが。



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