ぼちぼち



「おお…えらい綺麗になって。さすが大阪やなぁ」
部屋をひとしきり見回した奈良は、ちょっと嬉しそうに笑った。まぁ、あんなぐっちゃぐちゃの部屋で寝たかてスッキリせんやろし。
「ふふん、当然やな」
「いつもおおきになぁ」
「ま、軽い軽い」
「さすが関西のリーダーやね」
「分かっとるやん」
うーん、何や奈良に誉められるとくすぐったいんよな。誉め方がストレートっちゅーか。
近所の奴らはひねくれとるからグチグチうるさいし。素直に感謝すりゃええのに、集団ツンデレとかあり得んわ。


「…そんでな、うっかり何枚か破ってしもた障子があんねんけど…」
「そんなん楽勝やで!」

………ん?

はたと我に返れば、ごっつええ笑顔の奈良。その清々しさは後光でも差しそうや。
「さよけ〜おおきに、助かるわぁ」
「お…おお…?」
お礼に今晩は馳走作るなぁ、とニコニコしながら奈良は台所に。その後ろ姿を見送って、ようやく上手い事乗せられたんに気付いた。


けど。


「やっぱり大阪は頼りになるなぁ。手伝い頼んでよかったわ」

なんて言われたら、今更やれんなんて言えるやろか。



いや、言えん。

言えんてそんなん。

「お…おう、任しとき!」
後に退けん俺はそう返事をして、障子を置いとるっつー倉庫を見に行ったみた。
蓋を開けてみれば、破れた障子が溜まりに溜まってホコリ被っとって。
数的に一桁で済まん。絶対済まん。
「コレ…溜め込んどったやろ…」

日帰りのつもりが一泊二日の障子張りツアーになったんは………また別の話。



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