ぼちぼち



結局ホウキ持ったまま寝てもた奈良を毛布にくるんで廊下に転がした。京都がおったら「老人虐待と違います?」なんて言いそうやけど…まぁ、奈良やし。たまに畑のド真ん中で寝とる奈良やし。
そんなしょーもない事考えながら、散らかった部屋を片付け始める。

部屋に散らばるモノの大半は紙と洗濯モン。興味本位で紙の印字を見てみると『平城京遷都1300年祭』て書かれとった。
「…なるほど、ゴミ屋敷みたくになったんはこのせいか」
今年は平城京って都が奈良に移されて1300年になるらしい。いちいち数えるのもメンドなって忘れてたケド、人間っつーのはそういうの熱心に考えるんが好きみたいや。
んで、その1300年を記念して祭りをしようっつー企画のもと、去年から色々やっとったのは記憶に新しい。

普段のんびり寝とる奈良も、今回ばかりはイベントの段取りに動き回らざるをえなかったみたいやな。で、この散らかり振りになるほど掃除に回す体力が残らなかった…と。
まぁ、昔ならまだしも今ではな。
「…ほな、いっちょ気合い入れよか」
今日は大の字かいて眠れるように、このきったない部屋を綺麗にしようやないか。



「…ん…」

もぞ、と奈良が動いた。


ついさっき簀【す】巻き紛いの状態から解放したトコで、えらいタイミング良く起きたもんやと感心する。
掃除の仕上げに机を拭いてた手を止めて、うーだのあーだの呻いとる側へ寄る。つんつん肩をつつくと一瞬ビクッとしてこっちを向いた。
「おはようさん。よう寝れたか?」
「あぁ…スマン、寝てもた」

ゴシゴシ子供みたく目をこすりながら、眠気の抜け切っとらん顔でこっちを見る。
心持ち来た時よかしんどそうな顔はマシになったみたいで何より。よっぽど疲れとったんやなぁ。
「ええよ。何やエラかったみたいやし」
ぽすぽすと頭を軽く叩くと、奈良は目を細めて笑う。ホンマ老けへんな。むしろ幼児返りしとらんか。



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