ぼちぼち



なーんて思いながら、もそもそ食い始める。おぉ、このパン美味い。和歌山の食いもんアンテナも馬鹿にできんなぁ。
ちらり…と視線を和歌山に遣ってみた。
おお、見事にテンション下がっとる。マグロは勢い良く食っとるケド。表情が見るからにさっきより暗い。

食いたいモンは自分で取っとけばいいのに。律儀すぎていっそアホやなぁ。
まぁ、それが和歌山のエエとこやけど。
「…やっぱそっちも美味そうやな〜」
「んあ?」
パンくわえたままキョトンとこっち見る姿に、思わず吹き出した。
いくら何でもアホ面すぎるて!

ウケて落としそうになったパンを何とかホールドして、ぱかっと半分にして差し出す。
…端食ってしもたんは堪忍な。
「コレ、半分やるからそっち半分くれや」
「! 欲張りやなぁ、大阪は〜」
いかにも渋々、って感じの口調やけど、顔がめっさ嬉しそうなんは隠せてない。ホンマ分かりやすい。
よっぽど食いたかったんやな。
差し出された半分のパンを受け取りながら、早速がっつく和歌山を見てちょっとほんわりした気分になった。困った顔もええけど、やっぱり笑った顔のがええわ。


「美味いなぁ、和歌山」
「やなぁ」


美味しいモンもはんぶんこ。

幸せも、はんぶんこ。



[*前] [次#]
[戻る]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -