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公認ストーカー



カチカチカチ。


静かに秒針を刻む時計を見て、ああ、そろそろかと呟いた。ルーティン化している俺の行動は、急用でも入らない限りパターンが変わらない。
放課後のシンとした廊下の角を曲がる。

「あ…蒼海!」
ほら、やっぱり。
後ろからかかった声に、俺は思わず笑いを零す。
それに気付く素振りも見せず、ヘラヘラした笑顔を振り撒きながら朱鳥がバタバタと走ってきた。
「どっか行くのか?」
分かっているクセに、わざわざ聞いてくる。
それは最早お約束で。
「図書館だ」
こう答えるのもまた、お約束。
英語の本を鞄に忍ばせてるお前と一緒に、書物を物色しに図書館へ向かうのも。

なぁ、朱鳥。

気付いてるか?

お前が偶然を装って話しかけてくるのも、俺のルーティンに入っている事を。


公認ストーカー

(そうでもなければ、お前の部活終わりまで居やしない)




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