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その笑顔は反則だから


最近蒼海がおかしい。

図書館で作業しつつ蒼海を待ちながら、ぼんやりそんな事を考えていた。
この頃の蒼海はいつにも増して難しい顔をして、反応は返してくれるけど何か上の空。
そのくせ俺と目が合ったり、触れたりすると物凄い勢いで離れるか固まるかのどっちか。

前に俺が無理矢理キスしたせいかとも思ったけど、最近まで普通だったし。
「もしかして、脈アリ…かな」
出会った頃は鈍感と言うより無関心に近かった蒼海。俺の気持ち云々を除いても、色々と変化はしてると思う。
もしも……もしも俺への見方が変わって来てるとしたら。俺を意識してくれてるんだとしたら。


「やば…ニヤける」


そう思うと緩む口が戻らなくて、俺はたまらず突っ伏した。
カウンターで一人ニヤニヤしてるとか…怪しい。怪しすぎる。
つーかキモイな俺…
そうは思うんだけど、なかなかその顔は戻らない。そっちに意識を集中してたせいか、肩をつつかれてる事に気付くのに時間がかかった。

「どうした」
視界に映ったのは、俺の顔を覗き込む蒼海の顔。タイミングがタイミングだけに、思わず飛び上がりそうになった。
「お、蒼海!?」
「具合でも悪いのか?」
「いや、その…え、英語疲れ…みたいな」
丁度手元にあった本を示しながら、あははは、と乾いた笑い。
まさか蒼海の事でニヤけてたなんて、本人に言えやしないからな。いくら何でもキモ過ぎる。

「本当に英語嫌いなんだな」

クスッと優しく笑う蒼海の表情は、いつもの顔からするとホント信じられない破壊力で。
不意打ちでそんな笑顔を見せられた俺は、20秒くらい固まってしまった。



その笑顔は反則だから

(ああもう…堪らないんですけど―――!)




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