男の格好の時は暑苦しいなんて言うけど、女の格好の時は何も言わずに繋いでいてくれる。
それが嬉しくて、2人で遊びに行く時は女の格好なんだ。

「恋人繋ぎしても…変な目で見られないし…」

気付いて。
もう限界なんだ。スイーツとか映画とかレディースデーとか、正直どうでもいい。

「………」
「………」

偽物でも…仁の恋人気分で居たかった。どうでもいいワガママに付き合わせてでも。
男の俺には口に出せない気持ち。
だから…察して。
拒絶するならしてくれていい。ホントはされたくないけど仕方ないって諦めてる。
それくらい、俺はもう限界なんだよ。


「だあぁもう! 何でそういう事言うかなぁお前は!」


イキナリ声を張り上げたと思ったら、体がフワリと浮いた。
膝と背を支えられて、俗に言う姫抱きで部屋の隅にあるベッドまで移動する。
近付いたと思えば放り投げられて、スプリングを派手に軋ませながら落下した。
「いって〜…おま、何す…」
「人がせっかく自分に言い聞かせてたのに…責任取れこの馬鹿!」
ギシ、とスプリングがまた軋む。
狭いベッドの上で、仁が俺に覆い被さってるからだ。



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