「女教師に釣られてとか、可愛いなー深山クン」
「うっせぇ」
わしゃわしゃと頭かき回す手を払いのけて、ドカッと足を机に放り投げる。
「はー…ついてねぇ」
マリィたんのフィギュアが無かったら、昨日今日とホントいい事が無い。
可愛い女子でも寄ってこねぇかな…
「…あのっ…」
ふと控え目な声が聞こえてくる。ちょっと低めだけど、結構可愛い…
「え゛」
ギクリ。
ダチの間から見えた姿を見て、思わず固まってしまった。
「あ…深山さん…!」
俺様と目が合って、ホッとした様に笑う顔には見覚えがある。
アイツだ。
昨日信号頭に絡まれてたヤツ…!
ソイツの笑顔にイヤな汗がジワジワ滲んでくる。
オタクモードの俺様を見抜いたヤツ。そんなヤツがわざわざ訪ねて来たって事は…
まさか…脅迫!?
って、そんなバカな。
俺様があそこに居たって証拠なんかドコにも無いんだ。ビクつく必要なんかねぇ。
「深山さん、あの、これ…」
「ん?」
渡されたのは皮に見せかけたポリカバーの手帳。俺様が生指で探しに探しても見つからなかったモノだ。
やべ、何かすげぇイヤな予感。