「ひ…人違いです! それじゃっ!」
「あっ!」
急いでフィギュアを袋に突っ込んで、裏路地を全力疾走。さすがに絡まれてたのに、奥まで追ってはこないだろう。
走りながらチラッと後ろを見ると、やっぱり追いかけてはこなかった。
ホッとしながら歩きに変える。
「あっぶね…」
とりあえずこれで危機は去ったな。
あー、肝が冷えた…早く帰ってマリィたんを眺めつつ、癒されるとすっか。


ウキウキ気分の俺様は気付かなかった。


実は致命的に重大なミスをやらかしてた事に―――




「みーやーまー! 何回言えば分かるんだこの馬鹿が!」
「いでで! 知るかこのバカ沢!」
ついてない。スゲェついてない。
今日が風紀チェックだってのを忘れてた。
聖地に行く時はスプレーで黒髪に変えてっけど、それ以外で髪を黒くするつもりなんか無い。
だっつーのに生指のバカ沢に捕まって、容赦なくスプレーをふっかけられた。適当にしやがるからマダラだしプリンだし…最悪だ。

「ったく。生徒手帳」
とっとと出せ、とエラそうに手を突き出してくる。
この高校じゃ、指導される毎に生徒手帳にチェックマークが入る。10コ集めたヤツには、生指と担任と学年主任からのお呼び出し。
かれこれ5回くらい食らったけど、まだ風紀指導の後に生徒手帳不携帯についてクドクド説教垂れられるよりはマシだ。
説教2連チャンほどダルいモンは無い。
つーワケでさっさと手帳渡して…



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