「…やっと…やっと会えた…!」
震える指先をそろそろと伸ばす。
くあ〜っ…今なら死んでもイイっ!



ボサボサの黒い髪、黒縁メガネ、チェック柄のシャツ…は、流石にインしてないけど。リュックを背負って、手にはアニマイトの袋を持つ。
中には俺様のマドンナであり嫁である、最愛のマリィたんフィギュアが入っている。
予約開始日に速攻で予約して、発売を今か今かと待っていた。
カレンダーに赤丸を付けること90日、ようやく発売日にこぎつけて。愛しのマドンナが嫁いできた訳だ。


「あ〜、やべぇ顔がニヤける…」
袋の中に居る嫁を思い浮かべて、必死にニヤケる顔を抑える。
くそ、嬉しくてたまんねー!
ほくほくしながら歩いてると、路地裏から何か声が聞こえてきた。

「やっ…離して下さいっ!」

「いいじゃねーか、ちょっとくらい」
「財布だけでいいって言ってんじゃん」
気分も良かったから、軽くチラリと中を覗いてみる。
長ラン着てるカラフルな信号頭の後ろ姿が見えた。絡まれてるのは普通の男子学生。
ちっ、女子ならよかったのに…
3対1…会話からしてカツアゲか。ヒマだなアイツらも。ま、今はオタクモードだし、触らぬ神に祟りな…

「げっ」

うあ…目が合った…



[*前] [次#]
[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -