「ふふ、退屈そうですね」


「!」
突如として窓の方から響いた声に、反射的に頭を動かした。
サラサラと風に揺れる銀髪、夜を映した様な紺色の瞳、様々な色を含んだ黒の衣装。

白と黒。金と銀。
相対するが同じ系統に属するもの。
突然の来訪者もまた、掟に縛られた存在で。青年の光溢れる世界に唯一存在する染み―――もとい、闇を司る月という存在。
「…きっちり暦通りだ。相変わらず律儀だな」
与えられていた机の上の暦を一瞥し、びっしりと詰まった訪問者の予定にゲンナリしながら視線を戻す。


訪問者――つまり月は、満ちたり欠けたりと忙しい。自分の予定が刻まれた太陽暦とは比べ物にならないくらい、彼の予定が刻まれた太陰暦には予定がびっしりと詰まっている。
「何せ貴方に会えますからね。本当なら居座りたいくらいですよ」
そう言って微笑む月の笑顔は、清涼だがどうにも底が知れない。
まぁ、太陽にとっては些細な事だが。
「居座ったら消されるな」
「ですね。厄介な掟ですよ、本当に」



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