日は東から昇り、西に沈む。
それは毎日毎日飽きる事なく繰り返され、世界を照らし慈しむ。

「なーんて、人間は都合のいい事言ってるけどさ」

自分以外誰も存在しない空間にごちながら、パタリと本を閉じた。
至る所に金細工が配された、光に溢れる広い部屋。その中に鎮座するのは眩しい金の髪を持つ青年。本を机に放り出し、退屈そうな表情で肘掛けに頬杖をついた。
ふと窓を見る。
明るい空には一点の染みも無く、足元に広がる雲の更に下には人間が蠢いているのだろう。
「慈悲で照らしてやってる、なんて誰が決めたよ」


この世の理は遥か昔から続く。
厳密な掟に縛られた存在は精巧なピラミッドに組み込まれ、その意志を必要とせず力を発揮する。
「ったく…」
青年はぐるりと部屋を見渡して、ヤレヤレと溜め息を吐いた。

彼もまた掟に縛られた存在である。
天空に座し、地上を照らし、全てに恵みを注ぎ与える―――太陽、という存在。慈悲の者と崇拝を受ける偉大な存在。
それが意志に依るものかは別として。
「年中明るくて嫌になるな…」
光を司る彼に、闇は訪れない。
満ちた力は全身を介して宙に放ち続けられ、部屋の金はそれを反射し光り続ける。それらは闇を許さず、眩しい光の檻と化していた。
もうずっと、果てしなく永い時間をそうして続けている。



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