今日は皆が俺にモノをくれる!しかも食べ物ばっか!!だから今日は皆が皆、俺の好きなタイプだ。
だけど、一人。今日は俺の誕生日だってのに食いモン……ましてやプレゼントもくれない不届き者が。
「におー……」
「お、丸井。おはよ」
「いや、おはよじゃなくてさ、見てわかんないかな?今日誕生日なんだけど?」
ほら、と両手の紙袋を見せびらかすように前へ出す。
「何や丸井モテモテじゃな」
「だから誕生日だっつってんだろ!!」
「あー誕生日……誕生日ね…知っとったよ」
「ん、じゃあプレゼント」
手を差し出すと仁王はいきなり俺の手を握った。
………………は?
「なにしてんの?」
「手に乗らんほどの豪華プレゼントじゃき、目ェ瞑って」
「ま、まじで!?豪華!?さっすが仁王!!心の友よ!」
俺は豪華だとか超だとかとにかく"凄い"という意味を表す言葉が大好きで(だって大盛りに似てるだろぃ?)だからめちゃくちゃ期待を胸に目をゆっくりと閉じた。
「ぅみゅむ゛っ!?」
なんじゃこりゃ。
感じた事がない初めての感触に思わず目を開けると、唇に唇がくっついてる。
あ!俺コレ知ってるよ!キスだろ?キス!!
ん?……って……、
「キスぅぅううう!!?」
「うっわ、ムードぶち壊しじゃし……何しとるん丸井」
「その台詞そのままそっくり返すわ!!」
なに!?何でキス!?だって俺は誕生日のプレゼントが欲しくて、それだけで、、っ
……何か今冷静に考えたら馬鹿だよね、俺。
だってそういやコイツ詐欺師じゃん。完璧忘れてたわ、……誕生日で浮かれてたっつーか……
「……ファースト、なんだけど」
「ほーそりゃあ良かったのぉ丸井。」
「何がだよクソ!はぁ……あーあ初めてのキスは女のコとで柔らか唇の甘い甘いキスがよかったなぁ…」
仁王のやらかしにより、俺のファーストは乾燥しきったカサカサ唇の俺にとっちゃあ苦い苦いキスになってしまった。
「どうしてくれるんだよこのやろう!!」
「ワガママじゃのう……プレゼントくれ言うたからあげただけなんに…」
「"だけ"じゃねぇし!!」
「……どうしてくれるんだよ……って、簡単やけん。俺と丸井が付き合えば一件落着ナリ。」
「………………ん、は?」
は?は?何言っちゃってんの?コイツ。
意味わかんないんだけど?
「やって恋人同士やったらキスしてもおかしくないじゃろ?」
「………………そっか。」
俺は、馬鹿だ。
あーん!!
(いただく、というよりはいただかれたのかもしれない。
俺の誕生日なのに……。)
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