それはただの好奇心。
ほんの少しの遊び心。
可愛い彼女…彼氏?をからかいたくなる気持ちはわかるやろ?

そんなくだらない事で、君を壊す事になるなんて

無邪気な嘘で、



「しらい、しっ」


「ん、ケン…ヤッ」

幸せ幸せ幸せ幸せ

「ハァハァ、ッハァ」
小さなキスだけで息を荒げる君。

愛しい愛しい愛しい

「白石、かわえぇで」


「………………っ、恥ずかしいっちゅーねん……」


たった一言で顔を……いや、耳まで真っ赤にしてしまう。
可愛い可愛い可愛い



俺達は幸せだ。
俺から見ると白石はめちゃくちゃかわえぇし、白石も俺の事をちゃんと思っとってくれとるし、
まさに相思相愛そのものだと思った。


でも俺は思った。
俺は白石の全てが好きだ。笑った顔も、怒った顔も、泣いた顔も、歪んだ顔も――――……









ん、歪んだ顔?

見たことがない表情がひとつ。
歪んだ顔、だ。まぁ、そんな顔は多分、いや絶対しないに決まってるし、本人もしたくはないだろう。
でも俺は白石を愛してるが故にその表情が見てみたくてたまらなかった。 だから、


“嘘”をついた。


自分の為に。





「え、」


白石に『他の女子とキスをした』と伝えた。
白石の顔が酷く歪む。


「スマンなぁ…」


そう言うと白石は怒りを交えて
「その女子て誰や!?俺が――――!!!」
その表情は本気だった。 でも俺は白石の手を汚させるつもりはないし、俺自身白石と別れるつもりもない。


だけどな、


「落ち着けや白石。俺からした事やから!!」


凄く気持ちが良かった。

「な!?……んで?………………俺じゃ不満だったん?」


「不満なんかやない。

白石、好きやから。
俺は白石ん事だいすき。 白石はこんな俺でも愛してくれる?」

白石は少し考え込もうとした動きを見せたが、すぐに答えた。

「好き。俺も愛しとるで謙也」


あぁ、おかしいよ、
俺もお前も。



君を壊した。


壊れた奴にしか
人は壊せへんのや



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