4月1日。
世間一般ではエイプリルフール。嘘をついても許される日。まぁ普通の日に嘘言っても許されるけど。

でも俺にとっては違う、特別な日。

今日は後輩のゴンタクレの誕生日なのだ。
フツーだったら、あないな後輩ウザくて五月蝿いだけやし祝うだけ無駄やと思うけど、仮にも幼なじみなので祝ってやろうと思っている。

「遠山、」

「なんや?ひかる?」

「今日晩飯いらんてお前のオカンに言うといて。ケータイ貸したるから」

「え?何で?今日ワイの好きなハンバーグなんやねんけどー!!」

こっっっのゴンタクレは!!自分の誕生日なんだからおごってくれんのかな?くらい察せないんかい!!
って、あのゴンタクレが察せるワケあらへんよな、うん。期待した方が負けやこないな事。

「今度ハンバーグなら俺が作ったるから今日だけは我慢や我慢。」

「えー!!…まぁ光がそう言うんやったらえぇけど……約束、絶対やで!!」

「はいはい」

約束なんてしたけど俺はハンバーグなんて作った事がない。でもコイツはアホやから直ぐに約束なんて忘れるだろうから大丈夫だとは思う。でも食いモンに関しては記憶力えぇからなー……今度教本でも買っておこう。

帰り道はいつものルートではなく少し違った道を行く。遠山は違う道という事に気付いていないけど。

「遠山、今日の夕飯何やと思う?」

「んー……ぜんざい?」
「……」

アカン……もしかして遠山の中では、俺=ぜんざいになっとる!?

「あ、スマン!!ちゃうかったなっ」

「?」

「白玉忘れとったわ!!光そういうん結構厳しいやろ?やからワイちゃんと白玉入っとるヤツやないと駄目なん覚えたんやで!!あとつぶあん!!」

「あ……あぁ、せやで」

何か撃沈や………俺そないに遠山にうるさく善哉善哉言うとったかなぁ……?


「ん……なんや匂いする…コレって…!!!」

「お、着いた。せや、今日の夕飯は……」

「「たこ焼き!!」」

「今日は奮発したるからなっ!」

「ホンマに!?やったああぁぁぁ!!ほな、おっちゃん!たこ焼き十人前!」「遠山……」

コイツは加減というものを知らない。
でも俺も鬼ではない。誕生日ぐらいは、と許してしまう。


「な、遠山……」

「ん?光?」

「い、いや……美味いか?」

「めっちゃ美味いで!!」

ニカッ、と笑顔を向ける遠山。
あぁ、……幸せ。
俺はこういう遠山の笑顔を見るのが大好きだ。
…本当はたこ焼きを食べてる時に勢いで告白しよう、て思たけど……なんやこんな純粋な笑顔見たら言われへんわ、そんなん。


「そろそろ帰ろか」

「せやな!おおきに!ひかる!!」

「ん、……」

また、また今日もこれで家帰って終わり。
いつも通り。誕生日やから言おうと思ってたのに……
まぁ、えぇけど。
うん……えぇ。

「あ、せや!ひかる」

「何や?金ちゃん」

「ワイな光が好き!!」

「は?」

「好き。付き合うて?光がワイの誕生日プレゼント。」

「な………………!!?」

「えぇ?」

「う、は、はい!!」



今日もうまく丸め込まれました。

(誕生日プレゼントならさっきあげたんやけどなぁ…?)

まぁ、えぇわ。
……やってコレは金ちゃんのプレゼントというよりは俺へのプレゼントやと思うから。



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