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「はぁ、はぁ、は……疲れたぁぁ!!」そっと白石さんを布団に寝かせ、俺はフローリングに項垂れた。
やっぱ成人男性一人を背負うんは大変っちゅー話で。


「……すー」


イビキもなければ寝言もなし。聞こえてくるのは寝息だけ。
絶対俺やったらイビキがーがーかいてまうんに流石やなと関心しとると……


「はう、あ!!」


いきなり白石さんの頭から耳が、下半身からは尻尾がピョコンと飛び出したのだ。
多分寝ている為、無意識に出してしまったのであろう。でもグッジョブやで!白石さん!!何て言ったって………


「尻尾を抱いて寝れる……!!!?」


俺はそそくさと白石さんの傍に横たわる。


「うっひょう!!やっふう!ああーあったかー!癒される!!、………」


目の前に見えるのは白石さんの背中。なんや広いなぁ。女の人みたいな顔しとる割にはこういうトコ男らしいな……

尻尾より背中に抱きつきたい衝動にかられたような気がした。

ん?なんか可笑しない?なんで尻尾抱き締めとって癒されとるのに背中抱き締めたい、て思ってまうの?俺。乙女思考ON!してもうた……!


するとぴくんと尻尾が反応した様な気がした。
あれ、もしかして起きた?起きてもうた?白石さん!?


「な……に、触っとんねん!!」


「ぎゃあっ!!」


け、蹴られた……っ!!苦しい思いして運んできたんやからえぇやん!ご褒美くれたってえぇやん!!
……なんて白石さんには言えへんけど。


「って…ここドコやねん?」


「俺ん家……ですけど?」


「……ふーん今何時?」


「じ、十時ぐらいです」


「………」


「………」


白石さんの目はどこか虚ろでとろんとしていて半ば寝ぼけているようだった。さっきの鬼畜白石様はドコへやら。あ、蹴りはいつも通り痛くて強烈やったけど。


「……帰る。」


「え゛っ!!?化狐のまんまで……?」


「あ?出とったんかコレ?……仕舞えるし大丈夫や…んじゃ。」


「あ…はぁ……」


白石さんは何事もなかったかのように颯爽と帰って行った。
……覚えてないんかな?自分が暴走?したこと。

…それにしても俺の思考は最近おかしいと思うのだ。