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どないしよ、どないしよ


『謙也』


「っあああ!!!」

部屋でひとり叫ぶ俺、むなすぃぃー。
やって仕方ないやん!白石さんが…白石さんが俺ん事……


「な、名前で…呼ぶ、から……」


あぁ!ホンマどないしよ!俺、今めっちゃ乙女やった!!自分で言っといてさぶいぼ立ったでしかし!!
………は!!
俺、もしかしてホモやったん!?
つい最近まで女の子と付き合うてたやん!っちゅーかそもそも女の子とラブラブするためにバイト始めたんやろがぁぁ!!俺!!!


「うぅ……白石、さん…」


ダメや呪いや。白石さん病や。
いや、でも謙也、て呼ばれんの二人きりの時だけやし……………………………ふ…二人きり!!?

ってうわぁあああ!!何意識しとんの!?俺ぇぇぇ!!
よ、よし、落ち着け謙也。俺は男や。相手も男や。


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「け、結局授業集中できひんかった……」

俺どんだけや!!白石さん俺に冷たいやん!せや!!冷たい=嫌い!!!


……ホンマに俺の事嫌いなんかなぁ…?


って、そうやないやろおおおぉぉぉ!!



「あ、謙也」


「へっ?っ、う!うわぁあああ!!」

し、し、し、白石すわぁぁぁん!!!


「何やいきなり……大声出すなや、五月蝿い。」


「………すんません」


ほぉら冷たい!!


「他の参拝客の方の迷惑になるやろ?
謙也も印象悪ぅなりたないんやったら少しは叫ぶんガマンしぃや」


「は……い!!」


でもさりげなく俺の事、心配してくれとる……?

「さ、俺は仕事モードに入るから、早よお着替えてきぃや………忍足さん」


「はいっ!!」


うはぁっ!!やっぱ笑顔が眩しいですよ白石さんんん!!!………でも真実を知ってから素直に思えへんわ……


あ、せやせや!真実を話してくれた=俺を信用してくれた
んで、俺は白石さんと友達になりたいんや!!



俺はそう考える事で自分を納得させようとしたが、やっぱり納得がいかなかった。
でも今は別にえぇか、なんて思った。