05

 


白石さんは仕事の教え方がめっちゃ丁寧な事もあってか、俺は直ぐに仕事に慣れる事が出来た。


「ほな謙也、ちゃんと門閉めるんやで」


「はぁーい!!」


俺は毎日のように最後まで残って仕事をするようになっていた。仕事、といってもお札やらお守りやらの商品整理だが。

そこで気になっている事がひとつあって、それは白石さんがいつも店番をしている事だ。やり方を教えてくれただけで、一回も俺と一緒にお札やらの整理をした事が無いのだ。お守りは一回ぐらいあったかな?俺の記憶ではお札は一回もなかったハズだ、うん。
俺が来る前はどうしていたのかが少し気になるところだが、そんな事を気にしている場合でもないので追求はしないが。


「あ゛っ、お札……倉庫にしまい忘れてもうた…!!」


現在午後10時。
辺りは十分暗くなっていた。倉庫には電気がついていないのでかなり……なんというか………
怖い。
見た目的にお化けやら幽霊やらが出るカンジなのだが……

恐る恐る戸に手をかけた瞬間、、


ガタンッ!!


「う゛ぎゃああぁぁあ!!!」

何か居る何か居る何か居るぅぅぅぅぅ!!!!!

あああぁぁでも仕事は今までちゃんとこなしてきたし……ここでサボったら俺のプライドが許さないし……!!


えぇい!!!


ばん!!


「誰かいますかぁぁあああぁぁぁあぁ!!?」


そこには、


「しらい……し?」


獣の耳を生やした


「……さん?」


白石さんがそこに居た。


「!!お前……ッ、」


「え、、むぐっ!!?」


そこからは早かった。いつの間に俺の背後にいたのか白石さんが後ろから口を押さえてきた。


「喋ったら殺すで?」


「む゛っ!!?」


昼の白石とは思えないほどの低い声。雰囲気も違う。


「はぁー……めんどくさい事になってもうたなぁ?自分が俺ん事見たから。」

「むぐぐっ、」

「知られたからには……殺すしかないか」

「むっぐぐぐぐぐぐ!!!!!」

「ハハ、死ぬんはイヤか。……ま、当たり前やな」


そっ、と手が離される。

「ぷっ、はぁっ!!何しよるん!?自分!」

「何……って、見られたから。この姿」

「あ………………」

「だから殺s「わ゛ーーーっ!!あ、えっと!ちょっと良いですかぁぁ!?」

「は?何?手短に頼むわ」

「え、えっと……」


どうにかして白石さんの殺意を抑えな!!えーと話題話題………せや!!!


「そ、その……」

「早よ。」

「耳と尻尾触ってえぇですかぁっ!!??」



忍足謙也17歳、自分のアホさに気付いた夜。