改めて
「はーい、出来ましたよこんなんしか作れんかったんですけど……」
「ふおぉぉおぉお!!!ものごっつ旨そうやんけーー!!」
俺は先程宣言した通り、ユウジ先輩の家に来て晩御飯を作った。まぁオムライスひとつやけど。
なんかこんな事やっとると自分が家庭的やん、とか思ってしまい、少し哀しくなるのだが、ユウジ先輩の為だから仕方がない。
「はぁぁ!!めっちゃ美味かった!ごっそさん!」
「早いっすね……食べんの。」
「美味いから箸が進んだっちゅー話や!!」
「変なトコでモノマネせんでえぇて」
「今のは無意識や!無意識!!あ、風呂!…せや財前先に風呂入って来ぃや!バスタオル、兄貴ので悪いんやけど……何年も使ってへんから…って!それやと汚くてもっと駄目か!?スマン!!俺が兄貴の使うわ!!財前……悪いな、俺のん使って」
「っ、え……!!?」
ユウジ先輩の一人漫才が終わったと思ったら、俺がユウジ先輩の私物を使う事に……!!??
ユ、ユウジ先輩のタオル……!?
やっぱり使い込んどるタオルなんやろか……?ユウジ先輩の匂いとかするんやろか……?
うわ、なんや俺、変態みたいっちゅーか変態やん!!
「あ、嫌やった?やっぱり……」
「い、いいえ!!!寧ろありがとうございます!!!」
「……ありがとう?あ、パジャマは俺のお古のジャージでえぇよな?」
「あ、はいぃぃ!!!」
バタン、
素早くお風呂場のドアを閉める。うわー!うわー!!ユウジさんの私物づくしやあぁぁぁ!!
準備せんと泊まりに来て良かったわ……!!!
あ、後で家に連絡せんと。
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「ユウジ先輩ありがとうございました、めっちゃジャージぴったりでした」
「んー?おん……それは良かった…、っと、、」
「え?なに……?何かしとるんすか?」
風呂から上がるとユウジ先輩が何やら作業をしている。ソファーに隠れてよぉ見えんけど。
「うお、皿洗い終わっとるし。」
「んーやっといたで暇やったから……っと!よっしゃ!これで良し、や!!」
「何がっすか?」
俺が気になってユウジ先輩の方を覗いて見ると、ユウジ先輩の手に握られているのは裁縫針と俺のリストバンドだった。
「え、何で?」
「やってコレ毎日つけとるやろ?解れかけてたん気付いてなかったん?自分」
「……全然、」
「こういうんは早めに処置せなアカンねんで?」
「あ……裁縫とか得意なんすか?」
「ん、まぁな!!」
やっぱりユウジ先輩が運命の人なんじゃないか、って思った。
(
惚れ直した)
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