とり敢えずは、
俺は白石部長のメール文が信じられず、打ち間違えかと思い確認の為、電話をかける。
プルルルルルルルッ
『ん、財前?メール読んだ?』
「読んだ……て、打ち間違えやないっすか?」
『多分それは無いで。俺は常にメールでも完璧主義やからな。
ちゃんと表示されたやろ?
……一氏ユウジ、て。』
「………………」
あぁ!夢なら覚めてくれ!!
『んー?財前、ユウジと付き合うん嫌なん?』
「なぁっ!!付き……合う?」
『なんや自分そういうんで相談したんとちゃうかったんか?』
「っ、そう……です、けど……っ」
まさか先輩を紹介されるとは思わないだろう。しかも一緒の部活で勿論、今も一緒に活動している。あんまり関わりはないが、一つ言える事はある。
「ユウジ先輩…は…小春先輩が好きなんとちゃうんですか?」
『あー、アレ?本気ちゃうで。』
「は!?」
『そんなマジで付き合うまでは行ってへんて!!ちょおユウジが過剰すぎて勘違いされがちやけど、二人とも良い仲間同士やで』
「へぇ、」
なんかユウジ先輩の事、ホンマに勘違いしとったかも。
『あとな、』
「はい」
『ユウジん家ってデザイナー一家なんやけどな、オトンとオカンが仕事で世界飛びまわっとって年中留守なんよ』
「デザイナー……」
だから小道具とかも手作り出来るんやな……
『んで兄貴も居るんやけど、そいつも困ったヤツでな……放浪癖があるんや。千歳と同じや』
「!!……それって」
『せや、一人暮らしなんや、ユウジは。
今はマンションで部屋借りとってー……』
それからはあんまり聞いてなかった。
ユウジ先輩について、知らない事ばかりで。
でも……だから、あんなに人見知りっぽいのかな、とか……気付けばユウジ先輩の事について色々考えていた。
『……ぜん、ざーいぜーん』
「うわぁっ!?なん!!?何スか、部長…?」
『こっちのセリフやっちゅーねん……とりあえず明日の帰り。ユウジと一緒に帰りや。俺がセッティングしたるから』
「は、はぃ……」
ど、どうしよう…大丈夫やろか……!!?
『そんな気にせんで大丈夫やて!』
「気にしてなんか……っ」
『息、荒くなっとるで?』
「!!!???っ!!」
『ハハ、かわえぇやっちゃなぁユウジかて財前の事毛嫌いしとるワケやないんやから安心しぃや?』
「ん、はい……」
『じゃ、また明日な?』
「おやすみなさい……」
白石部長は俺を落ち着かせようと言ってくれた言葉も、今となっては全て綺麗に逆効果だ。
心臓がばくばくいってる。まじうるさい。なんで?別に前からユウジ先輩の事好きだったワケでも無いのに。憧れだった人とデートに行くワケでも無いのに………………………………………………なんでやろ。
(当たって
砕けろ!!)
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