9月29日。俺の誕生日ではあるが、当然の如く学校はあって、部活はあって、女子からもプレゼントを貰った。


だけど、物足りない感じがした。


「あ……………………!長太郎、だ」


「あ〜宍戸〜誕生日おめでとーー!おおとりは?」


「あぁ、サンキューな…ジローも知らねぇか……俺も今日、長太郎見てねぇんだよ…」


「うーん………なら日吉に聞けばE〜じゃん!俺、あったまEー!!」


「お、う」
頭が良いか悪いかは関係ないが、ジローの一言はごもっともな意見だった。
確かに日吉なら二年だし 知ってるだろう。

俺は三年校舎を後にし、二年校舎へと向かった。

「何の用ですか?宍戸先輩。」

何時にもまして刺々しい口調である。


「え……と、長太郎!!長太郎って…」
「鳳なら今日は休みですよ」


「休……み?」


「連絡とか来なかったんですか?」


連絡……そういえば、いつもはウザいメールとかおはようのメールとか、おやすみのメールとか… 一方的に連絡が来るのに今日に限って来ていない。


「日吉…には来たのか?」


「はい。ウザったかったんで消去しましたけど。」


「…………っ、ぅ…、」

消去するぐらいだったら俺にくれ!!
メールを受け取った日吉が羨ましくて堪らなかった。




そして、放課後。気づいたら部活の時間になっていた。
今日は長太郎が居ない為 自主練だ。


「今日は帰れ、宍戸。」

「はっ!?何でだよっ!」


衝撃的な言葉をさらっと言ってのける跡部。
何故、俺が帰らなきゃならないのか。


「今日のお前はうだうだしてて、とても練習に参加出来る様子じゃねぇ」

「なっ、!!?俺はちゃんと……っ!!」


「鳳の事考えてちゃあテニスもクソもねぇよなぁ?宍戸」


「……」


「一日休んで頭冷やせ。じゃあな、宍戸」


「………………っ!!」

バタン!!


俺はその場の空気に耐えられず、部室を飛び出した。


そんなに露骨に長太郎の事考えてんのわかったのかよ……っ、


「激……ダサッ、!!」

そもそも長太郎が連絡寄越さないのがいけないんだろう!?いや、別に連絡するって決まりは無いけれど……
そんな事されたら、必要以上に心配するに決まってんじゃねぇかよ……。


長太郎、、



****************


「ただいまー……って、誰も居るわけねぇか、」

親父は仕事、母ちゃんは夕飯の買い出し、兄貴はガッコ。


夜は賑やかなリビングだが、こうしてみると静かなものだ。


「ハァ…暇だな……、自分の部屋行くか」


トントン、と階段を上がり、自室のドアを開けた。

すると、そこには長方形の箱があった。
ん、ラッピングされているからプレゼント箱……なのか?
………………にしても、でかい。
コレ、長太郎の背よりあるんじゃねぇかってくらい。


「んだコレ?……ん?」

リボンと箱の間に紙切れが挟まっているのを見つける。


「ん……えーと………………親、愛なる宍戸さんへ?」


そこにずらりと十行以上並ぶ文字。全て俺の誕生日へのお祝いの言葉だ。

「うわ、キモい……」


『酷いですよ宍戸さんっ!!』


「あ゛?」


何処かからくごもった声が聞こえる。
あの箱から……か?
………………………………っつぅか絶対こん中に居んの長太郎だろ。
箱のサイズとか、手紙の字とかなんとなく。

よし、試しに。


「長太郎大好き!!抱いて!!」


うっぎゃあ!!恥ずかしいぃ!!!羞恥プレイ!

『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!宍戸さんが素で素直!?』確定。


箱に耳をあて、長太郎に話しかける。
「長太郎……?」


『へ!?あ、俺は長太郎なんかじゃあありませんっ!!プレゼント箱の妖精だよ!!君とお友達になりにきたんだ!!』


「中の人ネタは要らねぇよ。」


『あ、はいすみません。鳳でーす。貴方のダーリン長太郎でっす』


「なんか複雑なんだが…んだよダーリンて。」


『ちなみに宍戸さんは俺だけのハニーですっ!』

「よし、黙ろうか。」


『ちょ、怒らないで下さいよ〜!!』


「とりあえずお前出てこい。」


『あ、はい……』


そして奇妙なプレゼント箱から出てくる長太郎。四角形の一つがドア式になっていた。


「すみません宍戸さん」

「別に良いんだけどよ……もしかしてこの為に俺に休んだ事隠してたりしてた?」


「はい。」


「……っ、バカ!!バカばかばか!!!」


「宍戸さん!?」


「俺……不安だったんだからなっ!」


「ぅっ……!」


「日吉だけに送りやがって………………てめぇの恋人は俺……だろ?」


すると長太郎はふんわりと笑みを溢した。


「もちろんですよ、宍戸さん。俺の愛する人は宍戸さんただ一人だけです」


「ん……長太郎、大好き」


「宍戸さん、生まれて来てくれてありがとう。
今日、俺を婿にもらって下さい」


「じゃあ、俺の事は嫁に貰え………………で良いのか?」


「ふふ、上出来ですっ!」




もらって下さい!!



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