春、新学期。
俺、忍足 謙也は晴れて中学2年生になった。
勉強の不安もあったけど初めて後輩が出来るという事で俺の頭はいっぱいだった。
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そしてテニス部でも仮入部期間が始まった。
人数は思ったより多くて驚いたけど、それくらい後輩が出来るかもしれない!!、という事を考えると嬉しくて仕方がなかった。
まだ新部長こと、同学年の白石の指示か通っていなかったから、そこらへんを適当にブラブラしていた。
―――――――――と、 新入生の団体から離れて孤立している男子を発見。
(……迷子になってもうたんかな?)
とりあえず話し掛けてみる事にした。
その1年男子はリュックにテニスラケットを背負っていて、脱色している俺とは違って黒髪。いかにも草食系男子な感じの華奢な身体つきだった。
「なぁなぁ、」
「はい?」
(おーおー…見た目っちゅーか、フツーにおとなしそう………………って、え゛!?あれ、ピアス!?ピアス穴やんな?
開 け と る や ん け !!グレとるヤツなん!?
何なん?コイツ!!
あ、かっ、会話!!)
「…っ、かかかか仮入部希望者?」
「………………っス」
ム カ ツ ク ! ! ! !(まぁ、ココは自分をおさえるんや謙也。相手は後輩や。ここで怒ったら大人気ないわ!!)
「………………あー……ラケット持っとるけど、経験者なん?」
「いえ」
「へー…」
「……」
「……」
会話したく無いのか…? 何故こんな沈黙な時間が出来るのか……
ちゅーかコイツ仮入部希望者やった!!新入生の団体んトコへ連れていかな!!
「あーーー……とりあえず着替える為に部室……っちゅーか更衣室行こか?」
「打てるんすか?」
「は?」
「だから、仮入部で打てるんすか?」
「あ、お、おん…」
「したら早よ案内して下さい。」
(今しようとしていたトコロなんやけど?
どこまで生意気なんや!?コイツは!!
落ち着けや!落ち着くんや!!忍足 謙也!!!)
俺はソイツを部室に連れて行った。
「じゃあまずは、ここのロッカーに荷物入れて、体育着に着替えて端のコートに集合な!」
「はい」
――――――――――― バタン、「っ、しぃーらぁーいぃーしぃーーーー!!!!」
ガバッ、
そう言い白石に抱きつく俺。ちなみにこれは日常茶飯事だ。
「あ、謙也ぁ…何処に居ったん?仮入部希望者多くて大変やったんやぞ?」
「ん〜あぁ〜スマン……やけどこっちはこっちで新入生の面倒見てたんよ〜やけど………………」
「厄介者っちゅー話か?」
「っちゅー話や。」
「んんー…ソイツ何て言う名前なん?」
新入生用の名簿を眺めながら白石はそう、言いはなった。
ん?なまえ?
「………………へ?」
「やから、なーまーえ」
余りにも白石が冷静に言うもんだから、少し動揺してしまう。
「…………聞いてへん」
「っ、はぁ?ほんっとアホやな自分!!ヘタレ!アホ!馬鹿!」
と、白石が冗談を交えて言って半笑っているが、実際その悪口(?)は否定できなくて、苦笑い。
「あ!!端のコートに居るん、例の1年やない?」
「ん?」
白石の指差す方向に目を向けると、体育着姿のアイツが居た。
「アイツや!!ピアス開けてるんやで!?」
「アイツとか……ハァ、早よ名前聞きぃや………………って、体育着に苗字書いてあるん忘れてたわ!!えーと、…………………ざーい………ぜん……?」
「ぜんざい?」
「ざいぜんや!!アホ!!」
ボカッ!
「いでっ!!」
白石のアッパー?が俺の頭にクリティカルヒットする。何気に痛いし。コレ。
「あ、漢字は財閥の財に、前進の前で財前。
ほら、行ってきいや!」
「ぉ、ん」
そして半強制的に白石に押され、財前?(仮)の元へ。まぁ、俺は最初から行くつもりやったんやけどな。
「えーと……財、前君?」
「あ、さっきの……俺担当なんすか?」
「っっっ!????」
(え゛!?ココは担当って言っといた方がえぇんかな?なんかその方が言うこと聞きそうやし…)
「ぉっ、おん!!俺は財前君担当やで!!」
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