カボチャの馬車で迎えに行こうか


Happy halloween !!


 毎年のことながら、女子はイベントが好きだと思う。何のためのイベントかも知らないままお菓子を広げ、楽しげに笑い合う。ちゃっかりとイベントに乗っかる俺も人のことは言えないけど。

「「潔子さーんっ!!トリックオアトリート!!」」

 部室から響く西谷と田中の声。廊下まで聞こえるなんて本当元気だな、あいつら。

「…はい」

 清水が何か渡したのだろう。部室の扉を開けると、言葉もなく悶える二人が目に入る。

「……!!」

 今日も平和だな、なんて微笑ましく思っていると清水がそっと近寄ってきた。

「あれ、ありがとう」
「チョコ、役に立ったべ?」
「菅原のチョコだって知ったらなんて言うかな」
「あいつらは清水から貰えるのが嬉しいんだからいいんだよ」

 自分でも食べたことのない、一口サイズのカボチャ味のチョコ。ハロウィン限定なんて書いてたから親が買ってきたのを、昼休みに清水にいくつかあげたやつ。

「先輩っ、トリックオアトリート!です!」

 同じものを日向にもあげた。





「ハロウィン?ああ、今日か」

 練習後に大地にお菓子を貰ったか聞いてみると、この主将サマは今日がハロウィンだともわかってなかった。

「スガが何かくれんの?」
「ただじゃやらないけど」
「ああ…スガって案外こういうの好きだよな」
「楽しいべー」

 大地は呆れたように笑う。

「トリックオアトリート」
「はい、これお菓子な」

 大地にもカボチャ味のチョコを渡して、これが最後。手元にチョコはもうない。

「ねえ、大地」
「ん?」
「トリックオアトリート」

 もう誰もいないから、いたずらしてもいいだろ。大地はお菓子なんて持ってないだろうし。じっと見ながら返事を待つと、大地は予想の斜め上を選んだ。

「…ん」

 俺があげたカボチャ味のチョコを口に放り込んで、そのままキス。すぐに舌が唇を割って、チョコと共に入ってくる。俺の口までカボチャ味。

「んん…っ」

 大地の舌はチョコが溶けてなくなるまで俺の口内を荒らして、やっと離される頃には息があがっていた。

「…は…っ…」
「美味かっただろ」
「…俺のチョコだけどな」

 一方的にいたずらされたみたいだ。俺が大地にいたずらしたかったのに。



カボチャの馬車で迎えに行こうか


(来年こそいたずらしてやる)(それ、来年も一緒にいようなって約束?)






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