教えてやるよ


 寝起きの悪い幼なじみを毎朝迎えに行くのは俺の日課で、その日もいつも通り研磨の家に寄った。

「おはようございまーす」

 無遠慮に玄関の扉を開け、挨拶する。その時点で研磨が出てくるわけもなく、これまたいつも通りおばさんが出迎えた。

「おはよう、毎朝ごめんね。研磨まだ降りてこないの」
「じゃあお邪魔します」

 階段を上り、研磨の部屋の扉を開く、そこまでが毎日繰り返される一連の行動。扉を開けば、研磨は寝ていたり起きていたり着替えていたり。

「研磨、起きてるか?」
「……クロ…」

 研磨は起きていたけど、どこか様子がおかしい。ベッドの上に座り込んで俺を見上げた。

「なんか…変…」
「何がだよ?」

 ベッドまで近づいてわかった。男なら誰にでもある、朝の生理現象。

「収まらないんだけど……」

 研磨の困った顔が俺を見つめる。収まらないからベッドから出られない、そういうことか。

「ヌけばいいだろ」
「え、嫌だよ」
「早くしねえと遅刻すんぞ」
「だって…」

 その手の話題が好きじゃない研磨は渋る様子を見せた。

「手伝ってやろうか」

 返事も聞かず研磨に近寄ると、壁際まで逃げる。危険を察知した小動物みたいに素早い動きで。

「嫌だって…俺今日朝練行かないから」
「バカ言ってないで早くしろ。怖くねえから」

 自分もベッドの上に乗り上げて研磨の下半身に手を伸ばす。襲うような形になっていることには気づかないふりをした。
 膨らんでいるそこに触れ、ゆるゆると刺激する。研磨はぎゅっと目を瞑って何かに耐えているように見えた。

「研磨、ほら大丈夫だろ」

 パジャマ代わりのスウェットを脱がせ直接触れながら、安心させようと頭を撫でる。研磨が握るのは、俺のジャージの裾。妙に可愛い動きしやがる。

「ク、ロ……っ」
「どうした?」
「それ、や……っ、ぁ」

 先端をぐりぐりとえぐるようにしていると、研磨が握った裾を引っ張った。

「気持ちいいだろ」

 抗議を無視して、零れ出てきた先走りを塗り広げる。手の中で大きく硬くなっていくのを感じて、裏筋を折り曲げた指の関節でなぞった。

「ぅ、あ…っ、ふぁ……!」

 研磨の口から漏れる声はどんどん大きくなっていく。静かにしろと唇の前で指を立てると、研磨は縋るように俺の首に腕を回した。自然と唇が重なる。

「んぅ……、ん……っ…」

 いつのまにか硬くなった自分の性器も取り出して研磨のと重ねて扱けば、伝わってくる熱と興奮。

「ん…ッ、ク、ロ……クロ…っ!」

 唇が離れた途端、耳元で響く研磨の声に煽られる。強く握り先端に爪をたてると、ドクンと脈打ち研磨から吐き出される白濁。手のひらで受け止めてまだ反り返っている自身を追い立てれば、少しして俺も達した。

「はぁ……っ、は…」

 恨みがましい視線が俺に刺さる。

「嫌って言ったのに…クロのバカ…」
「でも気持ち良かっただろ?」
「……バカ!」

 研磨は真っ赤な顔を布団に埋めた。壁にかかった時計を見ると、もう朝練には間に合わない。

「朝練遅刻しちまっただろ。早く行くぞ」
「え…朝練行くの?」

 こんなに疲れたのに、と嫌そうな顔をした研磨から布団を引きはがして窓を開けた。

「当たり前だろ。早くしろ」
「寒い…」

 文句を言いながら準備を終えた研磨を引っ張るようにして部屋を出る。

「いってらっしゃい」
「いってきます!」
「いってきます…」

 おばさんに見送られて家を飛び出した。



教えてやるよ


(クロに襲われた…)(襲ってねえよ)(責任取ってって言えばそれっぽい?)(お前な…)






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