これ以上ないってくらい好きだ、大好きだ。告白して付き合ってしばらく経った今も、その気持ちは衰えるどころか日に日に増していく。
「宮地さん、大好きっす」
「知ってる」
オレも、なんて言ってくれないのはわかってる。言われなくても伝わるし。愛されてる自覚だってちゃんとある。
「高尾、ちょっと来いよ」
「はーい!」
呼ばれて行けば、オレの身体はすっぽりと宮地さんに包まれる。平均以上の体格の男が二人こうしてくっついてる様は、端から見れば暑苦しいのかもしれない。でもオレが幸せだからそれでいいや。
首筋が宮地さんの髪にくすぐられる。蜂蜜色の髪は女子が羨むくらいサラサラだ。くすぐったくて身じろぎすると、今度は濡れた感触。それが宮地さんの舌だということはすぐにわかった。
「宮地さん…?」
返事の代わりにピリッと小さな痛みが走る。おそらく印が刻まれているだろう。
「ん、よし」
満足げに笑いながら、その手はオレの服の裾から中へと侵入して肌に触れた。
「…っん…」
単純なオレはそれだけで続きを期待してしまう。服を捲られ、宮地さんの手はだんだん上に上がっていき、胸の突起に触れる寸前で止まった。そして、わざとそこを避けるように再び動き出す。
「宮地、さ…」
「何?」
「なんで、そこ…っ」
「そこってどこだよ」
絶対わかってるくせに。顔は見えないのに、宮地さんがニヤッと笑ったのが目に見えた。
「ね、おねが…っ」
「ちゃんと言えって。わかんねーだろ」
宮地さんの声が低く耳元で響けば、もう抗えない。
「ち、くび…っ、触っ…て…」
「ここだけでいいのか?」
突起に待ち望んだ刺激が与えられたかと思えば、宮地さんの片手はいつの間にか下半身へと伸びていて、中心には触れずに太ももをゆるゆると撫でている。もどかしさに腰が揺れた。突起は押し潰されたり捏ねられたりしているのに全然足りない。
「や…、いじ、わる…っ」
「ちゃんと触ってるだろ」
「足りな…」
首を振って訴えれば突起に爪が立てられる。そうじゃなくて…くそ、絶対わかってるくせに。
「宮地、さん…直接…っ、…ねが…っ…」
なんて言えば触ってもらえる?このもどかしさから解放される?わからなくて一筋涙が零れる。
「ま、こんなもんか」
そんな呟きと共にズボンのフロントがくつろげられて、すっかり勃ちあがった性器に宮地さんの指が絡んだ。焦らされてからの強い刺激に、いとも簡単に達してしまう。
「はえーよ」
「だっ、て…」
からかうように言いながら、オレのズボンと下着を脚から取り去る。後ろにいたはずの宮地さんは気づけば目の前にいて、ぐいっと大きく脚を開かされた。
「ちょっ、や…!」
恥ずかしい。そんな抗議も聞き流されて、まだ閉ざされているそこに指が触れた。円を描くように動くそれは、中に入ってこようとはしない。
「宮地、さん…?」
「濡らして慣らしてほしいか、このまま突っ込まれたいか選べ」
「…っ!」
真顔で放たれた言葉に顔が赤く染まって、それを見た宮地さんは口角を上げた。
「ほら、早く」
「言える、わけ…っ…」
「じゃあやめるか?」
触れていた指が離れて慌てる。ここでやめられたらオレがつらいだけだ。
「待っ…、濡らし、て……慣らして……っ…」
「了解」
そう言った宮地さんは、見とれてしまうくらいとてもいい笑顔だった。
▽
「ん…、あ、あ…っ!」
言わされた言葉のとおり、ゆっくりと時間をかけて慣らされる。的確に感じる点を突いてくるのに、昇りつめることは許してくれない。過ぎる快感で涙が零れる。
「あ…っ、は、……ん、ぅ……み、やじ…さ…」
もういいから、充分だから。そう伝えたいのに言葉にならない。もっと強い刺激が欲しいのに。
「みや…さ…っ、」
「ん?何だよ」
「も、い…から……っ!」
「聞こえねえ」
今も宮地さんは笑ってる。オレの反応を楽しんでる。その顔、色っぽくて好き…。
「もう、いい…か、ら…っ、いれ、て……!」
上出来。その低い呟きが耳に届いてすぐ、熱く猛ったそれがオレを貫いた。
「…ん、ぁあ…っ……!」
充足感が胸いっぱいに広がる。丁寧に慣らされたおかげか、それとも快感が勝るのか、痛みも感じない。
「和成……っ…」
限られた時しか呼ばれない名前は、やけに甘い響きを孕んで熱っぽい吐息と共に空中に溶けた。
それでも足りない
(もっと…)(仰せのまま)(それオレの台詞)