2015/07/29::追記


「んん…っ…ねぇ、もう朝になっちゃうよぉ…?あっ」
「何か問題でも…?」
「…っ…」
耳元で囁かれる吐息交じりの声に背すじを内側から撫でられてる気がして、仰向けの体がひとりでに仰け反った。
散々擦られて拡げられた場所の奥の方が、突かれるたびにじわりと熱を持つ。突き動かされて揺れる脚を自分で止める事ももうできない。この体は完全に霧彦くんの為すがままだ。

眠気と過ぎた快感のせいかうまく働かない頭で考える。明日、じゃなかった今日は休みだ。
珍しく家事もそんなに溜まってないから実際一日中こうしてたって特にこれといった問題はないことに気づいた。気が遠くなったけどすぐに焼け付くような快感に意識を引き戻された。

「も…もぅだめぇ…力入んなくって…」
「力が抜けてる方が扱いやすい」
「そんなぁ…っ…や、ぁ……」
繋がりあったところにローションを雑に垂らされる。空になった容器は霧になって消えた。あたしはそれをぼんやり眺めながら、いつももああしてくれたらゴミ出ししなくていいのにな、と思った。
ひやりとした大きな手に腰を掴まれただけではしたない声があがった。自分の喉から出てるなんて信じられない、信じたくないくらいのいやらしい感じの声だった。




霧彦くんのいる世界では、こういう行為の時にお互いの想いが重なると、体が霧に溶けあって身も心も一つになる感覚が持てるらしい。

同じでいられること。それはとても素敵な事だと思う。
心から好きな人とそうなれたらどんなに心地いいだろう。これ以上幸せな事はないんじゃないかとも思う。

だけどあたしは人間だ。あたしは霧彦くんとは違う。どんなに抱き合ったってあたしの体は霧彦くんとは溶け合えないし、混ざらない。一つになんか絶対になれないのだ。

だからこそお互いこんなにくっつきたがるのかもしれない。霧彦くんは時折、こんな風にあたしの体を一晩中離してくれないことがある。
それは絶対に溶けないあたしをどうにかして溶かそうとするみたいに思えて、あたしは気持ちよくてたまらないのに、なぜかいつも少しだけ泣きたくなる。

揺さ振られるのがだんだんと激しさを増していく。
奥を突かれる度に視界にちかちかと星が降って、目の前が真っ白になった。
霧彦くんがあたしで気持ちよくなってる。その事実だけであたしの体もつられて昂ぶってしまう。

浅くて狭いあたしのなかで、薄いゴムの膜越しに熱くほとばしる温度を感じた。何度目なのかはもう忘れてしまった。栓を抜かれる感触と一緒にあたしのなかから溢れ出した恥ずかしいしずくは、中に留めておけずにシーツにこぼれた。

いつの間にか訪れていた静かな明け方に、あたしと霧彦くんの合わない呼吸音だけが聞こえる。

「…カスミン」
「なあに」
「もう少し、こうしててもいいかな…」
息を切らしてあたしの胸に顔を埋める霧彦くんの表情は見えない。密着した霧彦くんの重みの分、体がベッドに沈み込む。

「…いいよ」
あたしは無意識に力の入らない腕で霧彦くんを抱きしめていた。
緩やかな余韻がほんの少しのかなしさと一緒にいつまでも体に残って、明け方の青い視界を霞ませていた。



END
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