■バニーガール2!!

■バニーガール2!!
2015/04/06
春になってもまだ、夜の風は冷たくあたしの肌を刺す。
「…っくしゅ」
間抜けなくしゃみの音がベランダに響いた。恥ずかしい。
そんなあたしに霧彦くんは心底呆れたような声で言った。
「そんな格好してるからだ」
正論だ。ぐうの音も出ない。
「…おっしゃる通りです…」
ほんと、よりによってこんな格好の時に霧彦くんと会っちゃうなんて最悪だ。

夜桜がライトアップされた景色を見る気にもなれず俯いてたらいきなり肩があたたかい感触に包まれた。
「え」

あたしにかけられていたのは霧彦くんの上着だった。
「え、あの、これっ…」
「風邪ひきそうで見ていられないからね」

霧彦くんはそう言うとふわりと笑った。まるであたしの時間が止まって、10年前の子供の時に戻ったような、そんな優しい感覚があたしの胸をしめつけて、苦しくさせる。
耳の裏が熱い。さっきまで寒かったのが嘘みたいに火照ってしまう。

「あ…ありがと…」
「どういたしまして」
ぶかぶかの袖で、顔が赤いのを隠した。

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