「朱鳥ちゃん!!???」
 あ、いた。
知笑が、水か焼酎かなにか透明な液体の入った瓶を持っていた。
瞳は見開かれて、新種の真っ赤な生物は、今まさに悲鳴でも叫ばんばかりに
わなわなと震えていた。

「だ、誰と話してるの。」
「…。」
「誰!?誰と話してるの!?」
 対応に困っていると、涼兄ちゃんが指示してくれた。
[……。俺と話させろ。]
 涼兄ちゃんの言う通りにしよう。うちはこの人が
ヒステリーを起こすところなんて、見たくない。
知笑に携帯を渡すと、知笑は携帯を握りつぶさんばかりに握って耳に当てた。
 
「もしもし。涼君ねぇ。」
 わかってたのかよ。
[そうですけど。知笑おばさん、朱鳥を返してください。]
「返すぅ!??よくいうわねぇ、ワタシは朱鳥ちゃんの母親よぉ?
あなたは所詮イトコじゃなぁい。」
[それで?朱鳥はおばさんと雄三当主と生活するなんて望んでいません。]
「ほほほほほほ。面白い事を言うのねぇ。」

 全然面白くなんかねぇよ。…。あ、うち、素が出た。
[朱鳥はまだ中学生です。]
「そぉよ?だからこそぉ、親がぁ、正しく導いてぇ行かなければならないのぉ!」
[はっきりいって、そんな大切な時期をおばさんと
当主の老人に育てられたら、悲惨な事になります。]
 !!!!怖いものなしなの?!
「な、何を…。雄三さんに言いつけるわよ!」
[そんな幼稚なおどしを……あなたは子供ですか?
俺は、とっくに善木家の跡継ぎを放棄してるから、
怖いものなんてありゃぁしません。]
「…。話にならないわねっ!!」
 そういって、携帯は宙に舞った。
人のものなんだから、投げるなよ。このやろう。
 
「もしもし。」
[朱鳥?]
「涼兄ちゃん、」
[なんもいうな!!今、猛烈に恥ずかしいから!!]
「…。ふふ。」
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