企画 | ナノ

この四天宝寺には最近名物コンビと言われるものがある。

一番有名なのが、モーホー軍団を結成しようとまでしている一氏ユウジと金色小春ペア、そしてそのモーホーコンビに引けを取らないと言っても過言ではないのがこの”3ー2喧嘩漫才”と呼ばれるこの2人である。







「いんや、俺の方が早かった!」

『私の方が早かったに決まっとるやんか!』

「お前ら朝からうっさいねん、だから喧嘩漫才や言われんねや。」

「それは周りが勝手に言うとるだけや、てか前まで漫才はついてなかったやろ!?」

『漫才言われんのは悪い気がせぇへんけど。』

「あほ、仮にも俺の幼なじみやねんからみっともないあだ名付けられんのは勘弁して欲しいわ!」

『くら、私にとってはこれは譲られん戦いやねん。』

「せや、山田とのこの戦いは譲られん!」

「…ほな聞くけど、今朝は何の勝負してたんや?」

「『どっちが早く校門にたどり着くか!』」

「つき合ってられんわ…。」

そう言いながら我が3ー2のアイドル白石蔵ノ介は教室から出て行った。















「そんなにつまらん理由か?」

それから教室に取り残された(?)な私たち。

『少なくとも私にとっては大事な事やで謙也くん。』

「大体これ自体が喧嘩に入るか怪しいし。」

『この前友達にじゃれあってるだけ?って言われた。』

「ほんならどんなことで言い争ってたんか思い出してみよや。」

と言う謙也くんの一言で、これまでの私たちの喧嘩した内容を振り返ってみようと思い出してみた。

「最近やったらどっちが学食早く食えるかで…、」

『その前は牛乳早飲み対決』

「俺が宿題してたら山田が白石の落書きとかいって毒草をボールペンで書いてきおったり。」

『うん、ごめん、しょうもなって思った…。』

「俺もや…。」

なんかほんとに小学生の言い争いみたいやな…。

いい年した中学生が恥ずかしっ!

『私ら出会いは普通やった気がするのにねー。』

「白石から俺の幼なじみや言うて紹介されたんやったか?」

『そんな感じやったのに今じゃ喧嘩漫才言われる始末…。』

「でも喧嘩するほど仲がいい言うし。」

『あれちゃう?謙也くんが突っかかってくんのは小さい子が好きな子苛めるみたいに私の事好きやからやったりして?』

「……。」

あれ、私冗談で言ったのに、え、あの、何か言ってくださーい!

「俺が…。」

『ん?』

「俺が山田に一目惚れしてる言うたらどないする?」

『…謙也くんならウェルカムやな。』

「ほほほんまか!?」

『嘘言うてどないすんねん、ほんとですよ。』

「ほな、おお、俺と付き合うてください!」

『はい、こちらこそよろしくね。』


それから2人は喧嘩漫才からおしどり夫婦と呼ばれるようになったとかならなかったとか…。



喧嘩して何が悪い?



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