06
入学して数日たったある日、あるものが配られた。
『…入部届か、』
そう、立海は文武両道を掲げているため、勉強は勿論部活にも力を入れている中学である。
私は元々中学はバスケットをしていたが、昔から見て体力は結構落ちていると思うし今更運動部に入る気はさらさらなかった。
ましてやマネージャーなんてやっていく自信はない。
うーんと頭をひねっていると、一つの部活に目が止まった。
『書道部があったわ!』
こう見えて実は高校入学するまで書道を習っていて、自慢になるが8段を持っていて県から表彰されたこともある。
これならなんとかやっていけそうだ!
と思った矢先、やはりお出でになったよ幸村さん。
「ねぇ、詩織は部活何処にはいるの?」
『いや、書道部に入るつもりだけど…幸村くんは?』
「俺はテニス部だよ。入る前から決めてたしね」
『へぇ、んじゃ真田くんと柳くんもテニス部?』
「もちろんさ。真田は同じJrのテニスクラブだったし、柳は違うテニスクラブでやってたらしいし」
『てことは柳くんとは知り合ったばっかり?』
「うん、本当最近だよ。詩織に出会う一週間ぐらい前かな?」
『へぇ、びっくりだよ!』
漫画で真田くんは一年のときに出会ったって言ってたけど、やっぱりこの世界じゃ少し設定が変わるんだね!
と言うか幸村くんなら明らかにマネージャー勧誘してくると思ったんだけど、何か私の思い過ごしだったみたいだ。
「是非ともマネージャーになってもらうつもりだったんだけど、今は採るつもりはないって先輩が言うからさ」
俺が部長になったら詩織をマネージャーにするよなんて言い出すもんだから丁重にお断りしました。
「何しとるん?」
ひょっこり現れた仁王くんは私と幸村を見て首を傾げた。
「あぁ、仁王か。いや、詩織の部活の話さ」
「ふーん。んで、何に入る予定なんじゃ?」
『書道部。結構自信はある方なんだよねー』
「ほー。通りで二ノ宮は字が綺麗やったんか」
いや、そんな幸村くんの髪で遊びながら言われても私嬉しくないですから。
『仁王くんは何部に入んの?』
「幸村と同じテニス部じゃ。それにしても、あのメンツはすごいのぅー」
「俺も思った。銀に赤に坊主に帽子と豊富だからね」
ふふっと笑う幸村くんに対し「そこじゃなか!」と反論する仁王くん。
「今度詩織も見においでよ、結構先輩もかっこいいし」
はいはいと返事をしながらどうしようかと悩む。
変に女子に目をつけられるのも嫌だしなー。
まぁ、そのときはそのときで喧嘩でもなんでも受けて立てばいいかなんてね。
今だってまだ一人も女友達が居ないのも、多分彼らと絡むことが多いからだと思う。
幸村くんなんてしょっちゅうやってくるし。
男女からモテモテのクセしやがって!
兎に角この先険しい山道が続きそうだ…。
谷ばかりな人生の予感
(と言うわけで、今日先輩と試合あるから来てね詩織)
(無理無理!私今日ドラマの再放送があるから)
(何、俺よりドラマを取るの?)
(二ノ宮、ここは逆らわん方がおまんの為じゃよ…)