10
<ピンポーン>

ガチャ


「…はい?」


インターホンを鳴らし返事を待っていたら、ちょっとしてからドアが開き詩織のお兄さんが出てきた。


「あ、幸村です…ってインターホン押した意味ないですね」

「いやぁ、めんどくさくてねー。それで要件は?」


「詩織ちゃんがちょっと熱を出してしんどそうなんでここまで送っときました」


「…引っ越しとかで疲れが出たんだな。どうぞ上がって、そこのお友達サンらも」


そう言ってお兄さんは中へ入っていった。

なんだか人は見かけで判断してはいけないんだなと思ってしまった。


中へ入りリビングらしきところへ入ると、お兄さんがお茶やお菓子を出していた。


「そこに座って、あと詩織を背負っている彼…、悪いんだけど詩織の部屋のベッドに寝かしといてくれねぇかな?階段上がって直ぐの左の扉入ったらこいつの部屋だから」


「分かったナリ」


詩織を背負いながら部屋を出ていく仁王を確認した後お兄さんが口を開いた。



「ごめんな、俺こんなナリだからさービビるよな?」


「最初は驚きましたけど、俺らの部活にもさっき詩織ちゃんを背負っていた彼みたいな銀髪や赤髪もいるんで慣れました」


「ははっ、そーかい。ところで今更なんだがあんたらの名前を聞いても良いか?」


「俺は幸村精一と言います。そちらのおかっぱが柳蓮二、帽子を被った堅物が真田弦一郎です」


「…うん、わかりやすい特徴をどうもありがとう」


ずずっと冷えた麦茶を啜り、彼はなんとも言い難い顔で微笑んだ。


「君らはテニス部かい?詩織は書道部に入ったって言ってたんだけど…」


「あぁ、俺と二ノ宮さんを背負ってた銀髪とはクラスメートでしてね」


「なるほどなー、まぁ詩織のことよろしくな」


「いえいえこちらこそですよ」


「おーい幸村ー、寝かせてきたぜよ」


「おお、銀髪くんありがとな」


「い、いえ…(銀髪くん…?)」


「彼は仁王です、ほら自己紹介は?」


「仁王なり…二ノ宮とは同じクラスで席が隣です」


「そーかそーか、よろしくやっとくれよ仁王クン!」


わしゃわしゃと髪をかき混ぜるようにして撫でられたている仁王は嫌そうにしながらもおとなしくされるがままになっていた。

それから、一応彼女に起きた出来事をお兄さんに話すとケタケタと笑い出して、「いかにも詩織らしいな」と呟いていた。



「それでは俺らはこの辺で…」


「部活帰りで疲れていたのに家まで運んでもらってありがとな」


「いえ、すみません彼女を守れなくて」


「君らが悪いんじゃないし、気にしなくていいよ、あいつは強いしな」


また遊びにきてくれなんて言うお兄さん、本当に人を見かけで判断してはいけないようだ。




彼女のお兄さん



(あー、疲れた…兄貴ってしんどいな)

(あれ、なんで家にいるのかわからん…)




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