08
「ったく世話の焼けるやつじゃのぅ、お前さんは」


『だかりわざとじゃないっ…くしゅん!』


「風邪曳いたんじゃなか?顔色も悪し」


『うえ、風邪だけには負けないと決めてたのに!』


「ほら、これ着ときんしゃい」


肩に仁王くんのジャージがかけられて、めちゃくちゃええ人やと感動していたら…


「それにブラ透けとるぜよ」


この一言で仁王くんの詩織ランキング堂々のワースト二位に入りましたおめでとう!


ちなみに一位は…皆さんのご想像にお任せしますよ。


「ほら、入りんしゃい」


保健室に着いたらしく仁王くんがガラッとドアを開けてくれた。

『ありがとう、あぁ寒い』


本当に風邪を曳いたみたいだ。
さっきから寒気が止まらない。

「今日は保健室の先生は出張でいないんじゃったな…」


そういいながら仁王くんは私にタオルを渡してスタスタと歩き出した。


「確かこの中に…。お、ビンゴ!」


髪を拭いていると「ほれっ」となにか投げられた。


よく見るとそれは立海のジャージ、しかもきっちり洗濯までされているらしくフローラルないい香りがした。


「ここの保険医はきっちりしとるからちゃんと洗濯されとるし清潔じゃよ」


『へぇー、知らなかった』


「とりあえず早く着替えてきんしゃい!」


私をぐいぐいとベッドの方へ押しカーテンを閉められた。


『ほんと仁王くんには感謝感謝だね…くしゅん!』


最後の一言が多いけどそれを除けばいい人だと思うよ。






「(二ノ宮のやつマジでブラが透けとったぜよ…しかも黒)」


顔を真っ赤にして仁王くんがこんなことを思っているのを私は知る由もなかった。








『ありがとう仁王くん』


「ん、ちょっとこっちきんしゃい」


手招きされたのでゆっくりと歩み寄ると椅子に座れと言われた。



「何があったんじゃ?嫌なら言わんでもええけど」


『いや、ほんと大したことじゃなくてね、私が勝手に飛び出したって言うか…』


「ほー、それで水浸しになるなんてお間抜けさんナリな」


『だって喧嘩には拳が来ると思うでしょ普通!なんでバケツなんか持ってんのよ』


「プリ、女ってのは平気で卑怯なこともするもんじゃ」


『私も女の子ですけど?私はオカマと言いたいの仁王くん!』

「それを言うならオナベじゃ二ノ宮、それにそんな事は言うちょらんよ」


まだ濡れとると仁王くんはタオルで私の頭をわしゃわしゃと拭きだす。


「最初ずぶ濡れな二ノ宮を見たときはほんと焦ったぜよ。苛められとるんか思ってのぅ。ただ幸村も俺も二ノ宮が心配なんじゃ。だからあんま無茶したらいかんぜよ」


『うーん、喧嘩になら負けないと思うしそんなに心配しないでも大丈夫だよ』


「だからそういう事じゃないんぜよ」


ぎゅむっと私の頬を両手で挟み目を合わされた。


「とにかく何かあれば俺らにいいんしゃい。力になるきに」

『…か、考えとくよ』


こんな真剣な表情をする仁王くん始めてみたよ。


「じゃ、幸村んとこ戻るか」


立ち上がった仁王くんを習い私も立とうとするとふわりとした感覚がしてそこからは意識が途切れた。


でも仁王くんが私を呼ぶ声が聞こえたと思う。


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