10
時間が経つのは早いもので、もう夏休みも終わり入学式だ。
そして私はと言うと案の定、寝過ごしてどたばたと準備中。
『うああああ!なんで2人とも起こしてくれなかったわけ!?』
「いや、起こしてんけどあまりにも気持ちよさそうにしとるもんやからなぁ」
「俺だって真琴の上に乗ってぴょんぴょん遊んだのに起きんかったんじゃ、どうにも出来んじゃろ?」
『うえ、私の上で跳ねてたの?通りでうさぎに押しつぶされる夢を見たわけだ…』
ごちそうさんと白石くんが食器を下げて私の方へ向かってきたかと思うと、私の口にクロワッサンを突っ込んだ。
『…んぐ、はひふふんへぇふか!(なにするんですか!)』
「今日はなんや真琴ちゃんが寝坊する気がしてなー、クロワッサンにしといてよかったわ」
食べながら準備できるやろと笑顔で言う白石くんの後ろで仁王くんがケタケタと笑いながらお皿を下げていた。
後で仁王くんの鞄にゴキブリの玩具いれてやる!
この前ゴキブリ見て腰抜かしとったこと知ってるんだよ!…てこんなんしてる暇ないんだった。
慌てて髪を櫛で梳き、少し長い前髪をピンで留めて準備完了!
私は化粧はしない主義なんです、若いうちから化粧すると肌があれちゃうしね!
「ほら真琴行くぜよー」
『うん、あ鍵持ってる?』
「俺が持っとるから安心し」
鞄をひっつかんで真新しいローファーを履き玄関を出る。
『それで…苅谷咲高校だっけ?場所分かるの?』
「まぁ、俺らとおんなじ制服来とる奴についてったら着くんじゃなか?」
「それはそうやけど、一応パソコンで調べてプリントアウトしたで」
『さすが白石くん!やっぱり仁王くんとは違うね』
「失礼なやつじゃのぅ、」
ぷーと頬を膨らます仁王くんはほっておいて、白石くんの持つ地図を見ながら学校へと向かった。
(結構大きいね…)
(なんや、四天宝寺みたいな校門やないやん)
(それはおまんの学校だけじゃ…ってうわああっ、鞄の中にご、ゴキブリが!?)
((……ぷっ、))
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