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子兎とお花見


「今日あたり満開だな。いい花見になりそーじゃねーか」

「まだ早朝ですし最高の場所をゲットできますよ!」

『そうね!絶対いい所取ろう!!』


朝日の昇ったばかりの時間、椎菜達はお花見の場所取りをするために公園に訪れていた。
しかも三人の両手には椎菜手作りのお弁当(しかも普通のサイズよりかなりでかい)がそれぞれ持たれている。


「気合入ってるな!」

『チビ達に頼まれたからね』


居候達は、イタリアに住んでいたためお花見というものを経験したことがない。
そんな可愛い居候達のため椎菜ははりきって場所取りをしに来たのである。



「何てお優しい…………!自分、感激しました!!絶対に絶好の場所を確保しましょう」

『当たり前!』


「お」

「!」

『すごい…満開だー!』

満開の桜が広がる公園にたどり着いた3人。
とてもきれいなのに誰もいない、何故か人一人もいなかった。
椎菜が不審に思った時、後ろから「ここは立ち入り禁止だ」と言う声がかけられた。


「この桜並木一帯の花見場所は全て占領済みだ。出てけ」


振り向いたら学ランリーゼント。
どこかで見たことあるような……


「ああ?」

「おいおい、そりゃズリーぜ。私有地じゃねーんだしさー」

「誰も話し合おうなんて言っちゃいねーんだよ。出てかねーとしばくぞ」

『はぁ!?てめぇ何様だ?』


バキバキと指を鳴らしているリーゼン男の正面で傘を持ちだす椎菜
持ち手の部分がミシミシと音を立てている。
そんな椎菜の横をすり抜けリーゼン男の腹に膝をめり込ませた
今のは許す!



「何やら騒がしいと思えば君たちか」

『雲雀先輩……ということはこれ、風紀委員だったんですか』

「僕は群れる人間を見ずに桜を楽しみたいからね。彼に追い払って貰っていたんだ」

『相変わらず無茶苦茶ですネー』



雲雀は役に立たない風紀委員をトンファーで殴り飛ばした。
驚きを隠せない獄寺達、椎菜も呆れたような視線を向ける。


「見ての通り僕は人の上に立つのが苦手な様でね。屍の上に立ってる方が落ち着くよ」


雲雀の言葉に獄寺と山本の二人はゾクッとした。
椎菜一人笑っていた


「いやー絶景絶景!花見ってのはいいねー♪」


…がしかし聞こえてきた声に頬を隠しもせずに引き攣らせた。



「っか〜〜やだね――、男ばっかっ!椎菜ちゅわーーーーんオジサンと一緒に花見しよーぜ」


酒に酔ったシャマルが木からひょっこりと顔をのぞかせた。
肩に手を伸ばそうとしていたシャマルを避け頭を掴むとそのまま地面に沈めた。


『雲雀先輩、私たちもお花見したいんで場所開けてもらえます?』

「…どーだヒバリ花見の場所をかけてシナが勝負すると言ってるぞ」

『そういうことです』


木の上に花咲爺さんもどきの恰好をしたリボーンがいつの間にか座っていた
しかも私が言おうと思っていたことを!



「いいよ。皆潰すつもりだったしね。君たち3人とサシで勝負しよう。膝をついたら負けだ。僕が勝ったら…椎菜、君には風紀委員になってもらうから」

「怪我の心配はすんな。その為に医者も呼んである」

『女しか見ないような藪医者いらない』

真顔でザックリと言いきった椎菜容赦なんて欠片もない。



「へ――、オメーが暴れん坊主か。お前姉ちゃんいる?」

「消えろ」

「のへ――!!!」

『もっと強く地面に打ち付けておくべきだった……!』

トンファーで殴られたシャマルの頭をグリグリと踏みつけるとそのまま蹴り飛ばしておいた。


『母さんとチビ達が来る前に終わらせなきゃネ』























初めに突っ込んで行った獄寺が膝をつき、次の山本がいい線まで行ったのだがトンファーの仕込み鉤で倒されてしまった。



「次はシナだぞ」

『準備万端!お弁当宜しくね!』


傘を構え雲雀の前に椎菜が立った。



「君の武器は傘なんだ」

『でも私の本気は素手ですよ。傘は力加減が上手くできるんで』


雲雀は椎菜に攻撃をするが、傘で軽々と防がれる。
それに対し、椎菜の攻撃は一撃一撃が重く防ぐのでやっと、と言う感じである。
楽しそうに闘う二人だったが、突然雲雀が膝をついた。


『え?』

「!」

目を見開き驚く椎菜。一番驚いているのは雲雀本人である。
本人も状況が理解できないのだろう。



「奴の仕業だぞ」

リボーンに指差された方を見ると、木に寄りかかったシャマルの姿。
立ち上がり近づいてきた。


「おー いて。ハンサムフェイスにキズがついたらどーしてくれんだい」

『まだいたんだ』

「シャマルは殴られた瞬間にトライデント・モスキートを発動したんだ」

『………』

「わりーけど超えてきた死線の数がちがうのよ。ちなみにこいつにかけた病気は桜に囲まれると立っていられない『桜クラ病』つってな」

『変なの』

フラフラになりながら立ち上がる雲雀
無理やり体を動かしているのか表情は辛そうだ。


「約束は約束だ。精々桜を楽しむが良いさ」

『私の闘いに他社の介入なんて認めない!だから勝手に負けたとか思わないでくださいまだ決着をつけてないんですから』

椎菜はフラフラと歩く雲雀に自分の作ってきたお弁当を押し付けた。


『曲がりなりにも場所を譲ってもらったんです。
これくらいは持ってってください』

「……ありがとう」



そのまま雲雀が帰るのを見送った後、真後ろに獄寺と山本がいることに気がついた。


「これで花見出来んな」

「椎菜さんの手柄っスよ!ぜってーシャマルじゃねえ!」



そして奈々達がやって来て無事お花見をすることができたのでした。





















オマケ




「がはは、このエビフライオレっちのだもんね!」

「$%&〜!+*+@」

「すごい僕日本の桜初めて見たー、ありがとうシナ姉」

『初めてのお花見楽しい?』

「「「うん!」」」



本来の目的を果たした椎菜はこの日一日大変ご機嫌だったという。

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