子兎と雪合戦A
「おそらくチビ達と椎菜が毒サソリに寝返ったのは、ポイズンクッキングで奴らに催眠をかけたからだな」
ディーノは冷静に分析しながら言ったが、しかし
「甘いわねディーノ」
『フッ、浅はかな』
「!?」
『私は既にポイズンクッキングを普通に食える、睡眠なんぞにかからん』
「理由はもっと純粋な恐喝よ」
『もっとも私は脅されたわけではないけどナ』
ディーノ達は改めてビアンキの恐ろしさを感じるとともに妹分の胃袋の凄さをヒシヒシと感じただけだった。
笑ってスルーした山本を除き……
しかし、この会話を聞いていた獄寺、疑問に思ったことが一つ
「じゃあなんで椎菜さんがそっちのチームに行く必要があるんだよ!!アネキ」
納得できねー、と叫ぶ獄寺の疑問に椎菜が答える
『それは………』
これだ!と言う声とともにバッと自分のジャンパーを脱いだ椎菜
ジャンパーの下には、ビアンキ達とは少し違った
――所謂、チャイナ服と呼ばれる服を着ていたのである。(もちろんズボン着用)
『ビアンキにチャイナ服を作ってもらったからサ!』
「「「(それだけーーーー!!?)」」」
ある意味爆弾発言……
しかし一応理由があるので渋々獄寺も引き下がった
『あれ? 隼人大丈夫なの? ビアンキが目の前にいるのに?』
「それがオレにも…。こんな事が前に一度だけありました、姉貴が秋分の日にリスの着ぐるみを着ていた時です」
『(今度私も違う種類のものを作ってもらおう……)ビアンキの顔が仮面に隠れているからかもしれない!かぶりモノ繋がりで』
「はっ、そうかも知れない!…と言う事は…、ついにやったぜ!!とうとう姉貴を克服したんだ!!」
『(克服ではないと思う)』
大喜びしている獄寺が可哀想なので最後の一言は言わないでおいた
「3チームになった事だし雪合戦のルールを変えねーとな」
『服装古くなってね?』
弥生時代の恰好をしたリボーンが現れ、椎菜に突っ込みを入れられるがスルーし次のレオン争奪戦のルールを説明し始める。
「レオンを奪い合うのは今までどーりだが、今回は捕まえた時点で勝ちだからな。ただし今回のレオンは逃げるぞ」
リボーンの持つ光る玉が、ラジコンの形に変化する
「ただし今度のレオンは逃げるぞレオンTURBOだ!!」
『へぇー』
「んじゃ、第2ラウンドスタート!」
リボーンからレオンが放たれ、みんないっせいに追い始める。
その途中でディーノの部下が一人ポイズンクッキングで沈められた。
「油断大敵。毒ボーボーよ」
ビアンキ達が毒入りの雪玉を投げている。
『ナイス!ビアンキ』
「なるほど…。そっちがその気なら」
「だよなボス」
「実弾入り雪玉!!」
ディーノ達はそれに対し実弾入り雪玉をビアンキ達の方に連射してきた
しかしビアンキ達は臆することなく普通に立ち続けている。
おかしいとディーノが感じたその瞬間ビアンキ達にたどり着く前にすべての弾丸は地面に落ちていた。
『アハハハハハ、跪け愚民共!
ここは私、並盛の女王率いる毒牛中華兎の領域!!
貴様らはチャイナ服、番傘、戦場の三種の神器のそろった私の敵じゃねえ!
アハハハハハハ』
椎菜は完全に人を見下げた目で高笑いをしている。周りドン引きである。
ちょっとテンションが上がってキャラとか頭のネジがぶっ飛んだ椎菜は
こっそりとレオンを追いかけようとしていた山本を追いかけようと近づいて行った時、ブワリと雪と共に椎菜の体が宙に浮いた。
『!…フウ太のランキングモード』
「シナ姉のランキングは相変わらず凄いよ!測定不可能もやっぱり多いんだけど、戦闘力 8万223人中1位 あと、チャイナ服の似合う人 8万122人中1位だったよ!」
『まじで!?すっごく嬉しい!………ってこんなことしてる場合じゃない!』
椎菜がランキングされている間にランボとディーノの部下二人目がリタイアしていた。
そして、ディーノと山本が一騎打ちをしているところに瞬時に走って行ったのだが
ディーノが大きな雪玉になって階段を転がり落ちて来る、とっさに逃げる山本。
しかし、雪玉に追いつかれ、雪玉と一体化したディーノと山本はリタイアになった。
椎菜はとっさに階段から飛び降り安全なところに避難したが……
『とりあえず敵が減ったから良しとしよう』
「そいつぁーどうかな。ダイナマイトでとけた雪の上にあいつを落としちまったみたいだ」
『あいつ?………まさか!!』
ビアンキ達に危険を知らせようとしたがエンツィオは巨大化していた後、
急いで駆け付けるが違和感を感じピタッとその場で止まった。
『エンツィオの奴意外と大人しい……』
「冬眠の時期だからな」
『あぁ、って危ないっっ!!!』
走り出す椎菜だったが、追いつく前にエンツィオが倒れこみ、ビアンキ、イーピン、フウ太、ロマーリオの四人が行方不明でリタイアになってしまった。
『え、えっ、残ったの私だけ?!』
「強運もボスの資質だぞ」
「あのラジコン捕まえてケリをつけて来い!」
『えっ!?』
「そーしてやれ。でないと皆の魂も浮かばれないぞ」
『勝手に殺すなー!』
レオンが走っているのを見つけすかさず追いかけ、捕まえようと腕を伸ばす。
『レオンいただきっ』
だが、椎菜がレオンをつかむ前に前から伸びてきた手に先にレオンを捕まえられてしまった。
『あ゛ぁ?』
「何これ、あとそのでかい亀」
目の前にはなんと雲雀がレオンを持って立っている
しかしなぜここに居る?いまは冬休みだろ?
『雲雀先輩……』
「あとその格好何」
『ふ、普段着デス…』
「嘘でしょ…………………でも似合ってると思うよ」
『…………………え?』
驚いて目の前のを見た椎菜はそっぽを向いている雲雀の耳が赤くなっていることを発見し、照れているのだと知る。
今時の中学生は初だわ、(精神年齢18歳だから言えること)
『ありがとうございます(以外……)』
「風紀委員の仕事がたまってる、またね」
ポイっと椎菜にレオンを投げ渡すと、学校に帰って行った。
『結局あの人は何をしに来たんだ?』
疑問を残したまま、雪合戦は幕を閉じた。
勿論勝者は椎菜である。