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子兎と跳ね馬A


ディーノが泊まった翌日、沢田家の前には黒いスーツの男たちが再集結
思わず『デジャヴ!?』と叫んでしまったことは仕方ないことだと思う。
ごめんなさいご近所のみなさん、朝から叫んでしまって…

遠い目になりながら現実逃避をしていた椎菜はこんなことを考えていた。

「ボンジョルノボンゴレ10代目」

『おはようございます。
 …ディーノさん呼びますか?』

「何だ、お前ら。迎えなんて頼んでねーぞ」

「誰も迎えに何て来てねーよボス」

「ん?」

「散歩してブラついてたらここに着いただけだぜ」

口々にそう言ったディーノの部下達。それを聞いていたディーノも呆れたように笑うが内心では嬉しいはずだ。

「おはよーございます椎菜さん!!」

『! おはよう、隼人…』

いきなりの大きなあいさつにかなり驚いた
心臓に悪い…

「早起きしたので、ブラブラしてたらここに着いちゃいました」

おんなじこと言ってる!?

「それより何スかこの連中は?」

「よぉ悪童スモーキン・ボム。会うのは初めてだな」

「!、そのタトゥー…跳ね馬ディーノ…!!」

黒い集団に不信感を持ったのか獄寺はディーノを睨みつけている。
微妙な空気が流れ始めたその時「シナと獄寺じゃねーか」と言う山本の声が聞こえ、同時に肩に重みが

「何やってんだオメーら、遅刻するぜ!!」

『やばっ!じゃあディーノさん学校行きますね』

「慣れ慣れしくすんな!」

そしていつもどうり3人で学校への道を進んで行くのだった。
ディーノとリボーンが良からぬ策を考えているとは知らずに…























「ええ、あいつが先代が傾けたファミリーの財政を立て直したのは有名な話っス
 マフィアキャバッローネファミリーつったら今じゃ同盟の中でも第3勢力ですしね」

『へ〜、ディーノさんが…』

ディーノに経営が出来たことに驚きを感じる。
あんなドジな人が?あ、近くに部下がいたからか。

「どっちにしろオレは好かねースけどね」

『どうして?』

「年上の野郎は全部敵スから」

範囲広!!周り敵だらけじゃん大丈夫かこの子…

「なぁ、シナ、さっきマフィアって言ってたけど…」

ヤバ!山本の前でマフィアなんかの話をしてしまった!
どうやって誤魔化そうか焦っていると…

「変な会社名だな、お前の叔父さんの会社」

『前から思ってたけど、武ってうちのお母さんに似てる…』

「そうか?」

天然具合がそっくりです…

その時、後ろから一台の車が狭い路地をものすごいスピードで走ってきた。
そして後部座席から投げられた縄にぐるぐる巻きにされ、椎菜が車で連れ去られていった。

「ありゃ、ここら一帯を締めてるヤクザ、桃巨会の車だな」

「リボーンさんっ!」

「ヤクザと言えばジャパニーズマフィアだ。大人のマフィアに中学生のお前らがかなうわけねぇ。ここは警察に任せろ」

リボーンから、桃巨会のことを聞くと、二人は弾かれたように駆け出した。

「任せられませんっ!」

「警察は頼んだぜ!小僧っ!」

だが、それを見計らったようにリボーンの後ろには椎菜を連れ去った車の姿があった。
中から出てきたのはディーノとぐるぐる巻きのままの椎菜が彼に抱えられながら車から降りる

「気に入ったぜ。あいつらの頭にはシナを助ける事しかねぇ。冷静とは言えねーが信頼は出来る」

『とりあえず下ろして貰えますか』

「わりぃわりぃ、お前のファミリーを試させて貰ったんだ」

縄を自力で引きちぎった椎菜は立ち上がった。

『あの二人はどうなっちゃうんですか?』

「あぁ。桃巨会なんてリボーンの嘘で、架空のヤクザだ。今に気付いて戻ってくるさ」

自分の持ち物が壊れていないことを確認する。
かばんの中身良し、番傘良し。

「シナ…お前幸せ者だな。あんなボス思いの仲間にそうそう巡り合えるもんじゃねーぞ」

『いや…だから、友達って…』

「あ、」

今まで黙っていたリボーンが声を上げる


「そう言えば言い忘れてたな桃巨会ってのは本当にこの町に実在するヤクザなんだぞ」

衝撃の事実に兄妹弟子はいっせいにリボーンの方を見た。

「相手は不良やチンピラとは訳が違うんだぞ!?ひよっ子のあいつらじゃ歯が立たねぇだろ!?」

「そーだな。桃巨会は武道派で強ぇらしいしな」

「ますますシャレになってねーよっ!何だってお前はこう昔から極端な事ばっかりすんだ!!」

『何しやがんだこのクソガキ!!!』

くどくどと二人揃って家庭教師に説教をする生徒二人


「……」

「『おいリボーン聞いてんのか!!』」


くぴー

「『(寝たー!!!)』」



「(俺は聞いていない聞いてないぞ…)………しゃーねー、行くぞシナ」

『はい』

「うぉ!?」

ひとまずリボーンを放置してあの二人が走って行った方向へ走り出した。
ディーノさんを担いで←ここ重要?








************


『ここみたいですね…
 あり?ディーノさん気分でも悪んですかー?』

「いや、大丈夫だ…」

とは口で言いつつも顔はまだ青い。
いわば、安全装置なしでジェットコースターに乗ったようなもの、
本体30分かかるはずだった道のりを10分で走ってきたのである。
普通の人なら意識を飛ばしていただろうが、流石はマフィアのドン
意識はしっかり保っていました。顔は真っ青でも






「よし行くぞ」

だいぶ顔色の戻ってきたディーノと共に扉の奥に進むと、ヤクザに尋問している二人の姿がありそっと胸を撫で下ろした。

「!、10代目御無事で!!」

「元気そーじゃねーか!!」

『二人とも無事!?心配したんだよ!』

和やかな空気が流れ始めたと思ったら、さらに奥の部屋から出てきた新手のヤクザが現れた。

「何してくれてんだ?餓鬼共が…」

ディーノは獄寺たちを下がらせ自分が前に出た、獄寺と山本は椎菜を隠すように前に立っている。

「金は頂く。そしてテメーらは帰さねぇ!」

「交渉決裂か、じゃあ力ずくで帰るしかねーよな」

ディーノが鞭を構えているのが見えた。今は部下の人がいない
………まずいんじゃね?この展開

「何すんだテメ――!!!」

「いって――っ!!!」

「自分にも当たった――!!!」

予想どうりの展開をありがとう
私を隠す意味が全く無くなってしまってますよ、ディーノさん。

「おい!女もいるぞ」

「おまえこう言うの好きだったよな?」

「俺たちがちゃーんと可愛がってやるからよ」





腕を掴まれ、男たちの元に連れられる。
品のない笑い、舐めるような視線。気持ちが悪い、吐き気がする。

『…を……ろ』

「あ?聞こえねえなお嬢ちゃん。嬉しいって………」

その先を聞く事は出来なかった。
なぜなら椎菜が男の髪をつかみ力一杯床に叩きつけたからである。
おかげで床が思いっきり凹んでいる。

『私は、穢らわしい手を退けろって言ったんだけどナー?
あら?聞いてないのかな』

手に持っていた男をポイっと投げ捨てニヤリと笑う。
そして、襲いかかってきた男の――――というより全国の男性の急所めがけて足を思いっきり振り上げた。
急所を蹴られた男は白眼を剥きながら倒れピクリとも動かない。
敵味方関係なく男はみな顔をひきつらせた。

「舐めやがって!!」

そして、次々と襲いかかってくるヤクザ達
しかし椎菜は落ち着いた様子で腰につけている傘で戦っていた。
後ろから攻撃してこようとする1人のヤクザ分かっているが動かない
なぜなら……


「大丈夫スか椎菜さん!」

「後ろはオレ達に任せろ」

『えぇ』

それを、見ていたディーノは少なからず三人に感心していた

「あいつら・・・」

「オレ達も負けてらんねーなボス」

入口にはディーノの部下達がいた。それを見たディーノは立ち上がる

「よっしゃ!暴れるぞ!!」

「どりゃあ!!」

「うわーっ」

「ひい!急に強くなったーー!」

そして、一気に桃巨会は椎菜達に壊滅させられたのである。













「いやー感心感心、お前らにならをシナをまかせられるぜ」

エンツィオを肩に乗せ人のいい笑みでそういったディーノ
しかし、言っていることは妹を嫁に出す兄の言葉だということに気が付いていない
椎菜は少し苦笑した。

『まかせるって……』

「じゃあオレは部下と買い物してくら。じゃあな」

椎菜の頭を撫で、爽やかに手を振り部屋を出ていくディーノ
椎菜はふっと疑問に思ったことを尋ねた

「隼人、ディーノさん嫌いだからもっとつっかかるかと思ってたよ…」

「あいつ口ばっかりでてんでヘナチョコでしょ?相手にしないことにしたんス」

『いや、そんなことは……』

ない。と言おうとしたところで、階段から物凄い音が聞こえ
ひょっこりと顔をのぞかせると階段の下でひっくり返ったディーノを見ていると
フォローできなくなってしまった椎菜でした。




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