子兎と中華少女
『行ってきまーす』
元気よく玄関を飛び出して言った椎菜
時間を確認しながら、待ち合わせ場所に急いでいた。
事の発端はつい3日ほど前、京子との会話からはじまった……
『京子、次の日曜日一緒にケーキバイキング行かない?』
「うん!行きたい。ちょうどその日“感謝デー”なんだー」
『例のあれ?
そう言えば緑中の友達にも京子と同じ日に“感謝デー”やってる子いるんだけどその子も誘ってみるね』
「おっけー」
という具合に話が進み、京子、ハル、椎菜の三人でケーキバイキングに行くことになった。
花も誘ったんだが、あいにく用事があったらしくすごく残念がっていた。
***************
待ち合わせ場所―――並盛公園前、一番乗りは椎菜だった。
約束した時間の十分前、公園のベンチに座りながら二人を待っていた。
「椎菜ちゃーん!!」
次に来たのはハル。
元気よく手を振りながら駆けてくる。
『おはよう!ハル』
「おはようございます!京子ちゃんまだみたいですねー」
京子を待って、ハルとおしゃべりしていると、2分後くらいに京子が慌てて走ってきた。
「ごめん!遅くなっちゃって」
『まだ待ち合わせ時間の五分前だから大丈夫だよー』
「そうですよ!早く行きましょ」
ぐいぐいと私と京子の手を引っ張るハルに、思わず笑ってしまった。
『ハル、そんなに急がなくてもケーキは逃げないよ』
「ハルちゃんあわてん坊だね」
ふと視線をそらすと、
ニコニコと笑う京子の袖を引っ張るチャイナ服を着た少女の姿があった。
少女は、手に持っていたものを京子に差し出した。
「あ!私のお財布。落としちゃったんだ」
『京子も人のこと言えないね』
「ほんとですよー」
ねーっと声をそろえて私とハルが言うとむぅっと京子は頬を膨らませた。
可愛いっ………!!!
「もぉー二人ともからかわないでよ!そうだ!お礼も兼ねてこの子も一緒にケーキバイキング行けないかな?」
京子は少女を誘ってみると、用事がないということで4人でケーキバイキングに行くことになった。
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少女――――イーピンを加え、椎菜達は並盛一美味しいケーキ屋(多分)
ラ・ナミモリーヌに来ていた。
「イーピンちゃんはどこから来たんですか?」
「¥♯$%&%*+@」
『へー、香港から来たんだ。はい、モンブランどうぞ』
「?≧+*」
ぺこりとお辞儀をするイーピンに椎菜はキュンとくる
家にいるのは自称最強ヒットマンの赤ん坊や可愛いんだが若干ウザイ子牛……
そのため礼儀正しいイーピンはとても新鮮に映ったのである。
『可愛いッッ!!』
思わず抱きしめてしまうくらいには
イーピンはキュッと眉を寄せるとまたケーキを食べ始めた。
照れているのか頬がほんのり赤くなっている。
「イーピンちゃんは恥ずかしがり屋さんだね」
しかし、イーピンからは不自然なくらい大量の汗が吹き出し、隣に座っていた椎菜にしがみついた。
「イーピンは人間爆弾と言われる香港の殺し屋だぞ」
いつの間にかひょっこりと現れコーヒーを飲んでいたリボーン
いつの間にそこに居たんだよ!神出鬼没だなオイ
その間にイーピンの頭に九箇模様が出始め、京子とハルも困っている。
「それに“箇子時限超爆”のカウントダウンがはじまっちまったな」
『何それ?』
「イーピンは極度の恥ずかしがりやでな恥ずかしさが頂点に達すると頭に九箇があらわれるんだ。それが“箇子時限超爆”のカウントダウンだぞ
額の箇子は時間とともに1つずつへり一箇になったとき全身の汗腺からギョウザガスを一気に噴出し爆発するんだ
この破壊力は小さいクレーターができるほどなんだぞ」
『あと4箇しかない!』
解説してる暇あったら何とかしろよ!
いまだ椎菜にすり寄ったままのイーピン
このまま爆発させるわけにはいかないとっさにイーピンをつかみ、店の外に飛び出た椎菜はそのままイーピンを遥か上空へと思いっきり投げた
それはもう素晴らしい投げっぷりで、
今この場に山本がいたならば即座に野球部に連れて行こうとしただろう。
その後イーピンは未熟な己を鍛錬すべく、日本で修行をはじめるため沢田家に迎え入れられたのだった