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子兎と死体


とある日曜日の早朝……


ズガンッ


爽やかな朝、心地よい眠りについていた椎菜は
1つの銃声でその眠りを妨げられることとなった。


『…ウルセェヨ』


グシャ

が、手に持たされていた銃を握り潰すと
また眠りについてしまった。

予想外の事態にリボーンは困り果ててしまった。
予定では

起きた椎菜が部屋にある死体を見つける。

手に持っている拳銃に気がつく

お前が殺したんだーとか何とか言って、椎菜をパニックにさせる。

最後は、ネタばらし。

と言うドッキリのはずだったのだが、当の椎菜はいまだ夢の中。
しかも拳銃を握りつぶしてしまった。


次の計画を練っている間に、ドタドタと階段を駆け上がる音が聞こえてきた。
とりあえずリボーンは起きない椎菜をひとまず置いておいておくことにし、この部屋に向かってくる人間を巻き込み再び起きるであろう##MAME1##にドッキリを仕掛けることにした。
もちろん自分が楽しむため。


***********

「シナちゃーん見てください!!文化祭の演劇でハル、屋台船やることになったんです!」

勢いよく椎菜の部屋に入って来たハル
なぜか屋台船の格好をしている。

部屋に入ると、椎菜はベッドに、そして知らない男が床に血を流しながら倒れていた。

「あ、シナちゃん達も演劇の練習ですか?
すごーい!リアルな死にっぷりですーー!!」

「ちげぇぞ…」

いかにも心苦しそうに話出したリボーン
子供一人騙すなんて朝飯前だ…………本人は赤ん坊だが。

「強盗が入って来て、オレから銃を奪ったシナがこの男を殺したんだ……
そのショックでシナは気絶しちまった。」

………もちろんすべて嘘である。
しかしリボーンの嘘に騙されたハルは、純粋にショック受けパニックになっている
現によろめいた拍子に屋台船を壊してしまっている
しかし、今はそんなことを気にしている暇はなかった。

死体をどうしようか……
あたふたしているうちに、獄寺と山本が椎菜の部屋に向かって来ていた























次に椎菜が起きたのは、自分にトンファーが振り下ろされた瞬間だった。
犯人は言わずもがな雲雀恭弥である。
ベットから転がり落ちることによって、攻撃を回避。
肘打った。地味に痛い……

『起こし方がトンファーで殴るって、一体どういう神経してんだアンタ!!』

「だって君なかなか起きなかったでしょ」

『………てへ☆』

分かりやすくごまかしているが、寝相の悪さを自覚しているため否定はできない。
これはもう前世からじゃね?とりあえず開き直ってみた。


「……とりあえず、この死体は僕が処理してもいいよ」

『死体?とりあえず何があったか私にわかるように説明して下さいよ』

そう言うと、窓から飛び降りた雲雀はバイクに乗って帰って行った。
現在、椎菜が寝ている間に起こっていたことを獄寺が説明している。
それが終わり一言…



『こいつ死んでないよ』

「「「へ?」」」

ベットの上で胡坐をかいている椎菜
めんどくさそうに死体(思ってはいないが)を見ている

「で、でもコイツ心臓止まって、ドーコー開いて、息止まってるんですよ!!」

珍しく反論した獄寺。山本とハルの二人もうなずいている。

『そこまで言うんだったら、雲雀先輩が死体処理しやすいようにバラバラにしておこうか。』

ニヤリと笑いながら、死体に近づいて行き腕をつかんだ椎菜。
そのまま力を入れ始めると

「すいませんでしたぁああああ」

死体が起き上がり土下座してきた。
見事なまでのスライディング土下座……!

「「「うそぉおおおお!!!」」」

『ほら、やっぱりそうじゃん』

驚きを隠せない三人に、一人どや顔の椎菜。
その時、死体―基、モレッティが自分が殺され屋であること、一時的に心臓を止め仮死状態に出来るアッディーオのことを説明すると、三人はようやく納得した。

「そういやシナはなんでこいつが死んでないってわかったんだ?」

「はひぃ、それはハルも気になります!」

山本とハルの素朴な疑問に椎菜はあっけからんと答えた。

『第一に、モレッティさんが部屋に入ってきたときに、悪意あるいはそれに準ずるものを感じられなかった。殺気とかそういうたぐいの感覚は寝ていてもわかる。
第二に、これは感覚としか言いようのないものだけど、死んだ感じがしなかった。
確かに心臓が止まっていたかもしれない、それでも死んだという感じはしなかったんだよねー
大方、リボーンのいたずらかなんかでしょ。』

その答えにリボーンは二ヤりと笑い、

「見事だぞ、シナ。またマフィアへの一歩を踏み出したな。」

『だから、マフィアにはならないって!!』

呆れてこれ以上怒ることのできない椎菜だった…






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