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子兎と風紀委員長





夏休みが終わり、二学期が始まった。
(え、早い?べ、別にめんどくさかった訳じゃ無いんだからね!!)


『もー秋か……早いねぇ』

「そ、そうっすね……」

「シナはよく食うなー」

そう、今はお昼御飯の真っ最中。
ちなみに椎菜はいつものお弁当(重箱)にクラスの女子が作ってきたお弁当をもらうため屋上で食べることになったのである。


「アホ牛がブドウブドウって最近ウザくねースか?」

『美味しいからいいんじゃない?』

「栗もうまいぞ」

その言葉と共にチクリとした痛みが広がる…………地味に痛い

『痛ッ!!ってリボーン!その格好は何!?』

「これは秋の隠密用カモフラージュスーツだ」

『100人が100人振り返るよ…』

大きな栗のコスプレをしたリボーンが地味に攻撃をしていたらしい。
思わずため息が出てしまった。


「今日は放課後、ファミリーのアジトを作るぞ」

『要らないと思いまーす』

「へー、面白そうだな秘密基地か」

「子供かおめーは!でもアジトいーじゃないスか!ファミリーにアジトは絶対必要っスよ!」

「決まりだな」

にやりと笑ってこっちを見るリボーン。
そーか私の意見は丸々無視かコノヤロー
仮にもボスだろ…

「どこに作るんだ?裏山か?」

「なわけねーだろ!!」

「学校の応接室だ 家具も見晴らしもいいし立地条件は最高だぞ」

勝手なことばっかり言って……普通にムリだろ、そんな場所。
家でいいじゃん!!
あーやる気なくなってきた

「机の配置とか考えなきゃな」

「オレは椎菜さんからみて右な!」

やる気0の椎菜をおいて事は進んでいく――


お昼休みも午後の授業もHMも終わり放課後、リボーンの命令を実行するため椎菜達は応接室までの道のりを歩いていた。

前に獄寺、山本後ろに椎菜の順である。
獄寺と山本が部屋の配置のことだ話しあっているのを聞きながら歩いていると、あっという間に応接室に着いた。



「へ〜〜
こんないい部屋があるとはねー」

「君、誰?」

学ランを肩にかけ、ソファーに腰掛けている男子生徒。
山本はすぐに気がついた。

―――この男は…風紀委員長でありながら不良の頂点に君臨する
ヒバリこと雲雀恭弥……!!


「なんだあいつ」

「待て!獄寺…」

「風紀委員の前では煙草消してくれる?ま、どちらにせよただでは帰さないけど」

「んだとてめッ!」

山本の前にパっと出た獄寺

消せ

だが咥えていたタバコが切られ、危険を感じトンファーを持つ雲雀から距離をとった。

「何だコイツ!!」

「(聞いたことがある…
ヒバリは気にいらねーヤツがいると相手が誰だろうと
仕込みトンファーでめった打ちにするって──…)」

「僕は弱くて群れる草食動物が嫌いだ。

……視界に入ると咬み殺したくなる」

ニヤリと笑う雲雀。山本と獄寺の二人は殺気に当てられ固まってしまう。

『へ〜初めて入るよ、応接室なんてさ』

そんなことお構いなしに椎菜は応接室に入って行った




「まてシナ!」


止める言葉が遅くて椎菜はすでに応接室の中に入っていた。
椎菜に向かってトンファーを振るう雲雀
だがそこに椎菜の姿はなかった。

『遅い』

声に気が付き振り向くと雲雀は椎菜の回し蹴りをくらい、吹っ飛ばされた。

『私この人何とかするから二人とも屋上で待っててくれるかな?あ、かばん宜しく』

強引にかばんを押し付け、二人を強引に応接室から出した。

その瞬間体勢を立て直した雲雀が椎菜に襲いかかりそこから激しい攻防が続く――――




「クッ、ククッ…君、ただの女子じゃないみたいだね風紀委員になってほしいよ」


――どっちにしろ咬み殺すけど。

『その辺の弱者と一緒にしないでくださいよ。風紀委員ですか……委員会入る気ないのでお断りしますね』


――書類整理ぐらいなら手伝いますよ。得意ですから

































しかし………



『醒めた』




















この一言でこの攻防は呆気なく終了した。





「何、ふざけてるの?」

『いいえ真面目ですよ。
ただ、並盛最強ってこの程度だってわかって興醒めしただけなんですよ。』

――あはは、これで最強なんて笑えますね。


「……ねぇ…殺していい?」



『ふふっこの言葉は屈辱的だったのかな?
いいですよ
私に本気で殺しにかかって来て下さい。退屈で退屈で仕方なかったところです。』


そして両者同時に相手に飛びかかった瞬間
弾丸が間をすり抜け、二人は強制的に動きを止められた。








「そこまでだやっぱつえーなおまえ」

いつの間にかソファーに座り、コーヒーを飲んでいるリボーン


「君が何者かは知らないけど、邪魔しないで。横になって待っててくれる」

雲雀は標的をリボーンへと変え、トンファーで攻撃した。

しかし、その攻撃は十手で防がれてしまう。

「ワォ、すばらしいね君」

「おひらきだぞ」

『じゃあ、お腹空いたんで帰りますね。
また遊びましょう、雲雀先輩』

そう言うと椎菜はリボーンを抱き上げ、雲雀に会釈すると、応接室を出ていった。

バトルをした後に、機嫌良く帰ってきた椎菜を見て、獄寺と山本はホッと胸をなでおろした。

今現在三人は、帰宅途中である


『へぇーあの人にわざと会わせようとしたんだ』

「危険な賭けだったけどな。まあ予想とはかなりかけ離れた結果に終わったがな。」


その言葉に椎菜は眉を寄せた。

『ふざけないでよ!!もしかしたら二人とも大怪我してたかもしれないんだから!!』

「お前達が平和ボケしない為の実戦トレーニングだぞ。鍛えるには実戦が一番だからな。」

「あいついつかぶっ飛ばします!!」

「とりあえずサンキューなシナ!」

『私は護るって決めた相手は絶対に守るからね。もう誰も傷ついてほしくないんだよ』


「ヒバリは将来必ず役に立つ男だぞ」

『(あれ?私いい事言ったのにスルー!?え、スゲー恥ずかしい奴みたくなってるくね?)私も、あの人気に入ったよ。』


――――同じ戦闘狂のあの男をね……














「あの赤ん坊、また会いたいな」

あの子――沢田椎菜
彼女はとても面白い。
群れてはいるが根本は自分と同じ肉食動物。
それに、戦っている時も全く本気を出していなかった。
……それに自分と同じ戦闘狂
見た目こそ、小動物だが、本質は肉食動物。


「あの子、気に入った」

――書類整理を手伝ってくれるらしいからまた会うだろうね。

表情には出さなかったが雲雀の声からは喜びがにじみ出ていた。


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