「エドーっ!ちゃんと機械鎧の手入れはしなさいよね!」


よく彼女に言われた言葉だ。
機械鎧を壊して帰っては、スパナで殴られて。
けど俺は知ってたよ、影で泣いていたこと。
いつもいつも、心配させてばっかりだった。
最後の時もそう。

「あんたがどれくらい成長してるかくらい、わかるわよ」

そう言って、強く笑った。
きっと、もう逢えないことも薄々気付いていて、それでも。



「エドおにいちゃん、エドおにいちゃん」

「んん…」

「そんなところでねるとかぜひいちゃうよ」

どうやらソファで本を読みながら寝ていたらしく、少女に起こされた。

「ん…ああ、悪ィ。ありがとな」

頭を撫でてやろうと手を伸ばすと、そこへ到達する前に掴まれた。

「おにいちゃん、かなしいことがあったの?」

言われている意味がよくわからずに、え?と聞き返すと頬を指差された。
触れると、涙が零れている。
懐かしい彼女の夢を見たからだろうか。

「違うよ…これは嬉し泣きだ」

「うれしくてなくの?」

「ああ、大事な人に夢で逢えたからさ」

「エドおにいちゃんのだいじな人?わたしもだいじ?」

不安そうに聞かれて、もちろんだよと答えると少女は嬉しそうに笑った。
彼女は今、何を想い何をしているのだろうか。
面と向かって言えなかったけれど、彼女にいつか届くといい。


(ずっと君を愛してたよ、)
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