言った、確かに言った。
けど、

「どうですか、これで」

これは無しだと思いませんか。
いつもより大人びている彼の笑顔に思わずクラッときてしまう。
…いや、大人びているというか実際に年齢上がってるんですけど。

「あの、ね虹一…?それはずるいと思うんだけど…なぁ」

「んー…そんなこと言ったって、君があんな事言うからこうしたんでしょう」

「ううー…」

「それよりもどうですか?ダメ?」

「…言わなくてもわかるでしょう!」

ただでさえ高い身長が余計に高くなり、見上げる時に上目遣いになってしまうのが嬉しいのか彼が微笑む。
いつもならやめろ変態、と悪態を吐くのだけれどもそうはいかない。
何故なら説得力が無いからだ、自分でもわかるくらいに熱い顔のせいで。

「言ってくれないとわかりません、」

これでもかと言うくらいに笑顔な彼。
ドSだこの人。
ああもう、あんな事言うんじゃなかった。
告白してくれた彼に、虹一の事は好きだけどそれは異性としてじゃない、中学生は恋愛対象にできない、と。
だけど、虹一のほうが早く生まれてきてたら好きだったかもしれない、なんて。
言うんじゃなかったかもしれない。
まさか、やってのけるなんて。

「ほら、僕に聞かせて?」

耳元でそっと囁く虹一に、思わず心音が上がった。
ずるい、こんなの。

「…格好良いわよばーか!」

「それって褒めてるのか悪口かどっち?」

またもや余裕な顔で私を見る彼に、少し腹が立って。

「…っ?!」

「もう、わかってよ」

前振りもなしに軽く口付けてからそう言うと虹一は驚いた顔のままだった。
そんな顔を見るのは初めてで、優越感と嬉しさがあって、だけどやっぱり。

「可愛いなぁ」

「可愛いって…僕男ですよ」

可愛いのは年齢のせいだと思っていたけれどそうでもなかったみたいで、可愛い。

「ねえ虹一…中学生に戻っていいよ、」

そう言うと、彼は一変して寂しそうな顔をする。

「やっぱり異性としては見れない?」

「んーん。本当は…」

本当は、前から虹一のこと好きだった。

「へえ、そっか……って、えええええええ?!」

「だってさ、中学生ってマジかよ自分…とか思って、それは異性としてじゃないなって思うようにしてた…んだけど。大きくなった虹一見たら、やっぱり虹一は虹一だなあって」

「え、何それつまり…」

あたふたする彼に、もう一度口付けをした。

「だからね、あたしと付き合ってください」


(可愛い可愛い白の君)
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