きらきら、きらきら。 それはとても輝いていて、綺麗で、そして神秘的だった。 手にはできない。 覗き見ることだけが許されている。 幼心に、そこには違う世界があるのだと思った。 「何見てるんですかィ?」 縁側に腰を掛けて日の光に向けて覗いていると、足音が隣で止まった。 「近藤さんがお土産にくれたの」 見てみる?と差し出せば沖田は苦笑しながら手に取った。 「あの人はほんとあんたに甘いねェ」 「総悟も十分甘やかしてるでしょ」 「それ言われちまうと困るんですが」 くすくす、と顔を見合わせて笑みを零した。 真選組を結成してすぐに引き取られた為、娘や妹のように可愛がられている。 あの鬼の副長でさえ彼女には甘いのだ。 「へえ…結構綺麗なモンですねィ。ガキの頃に見たきりでさァ」 「私もほんと小さい時に見たきり。ほら、土方さんと散歩したとき露店で見たんだけど…その時なんか、あまりに綺麗だから違う世界が広がってんのかと思ってた」 真顔でそんなことを言った少女に、沖田は思わず吹き出す。 「そ、そこまで笑わなくても…」 「まあ確かに、鏡のせいで小さいはずの空間がかなり広がって見えますからねェ…にしても、違う世界だなんて随分ロマンチックなこって」 女の子だなぁ、と頭をぽんぽんされる。 「そうだよ、女の子だもん」 筒上のそれを返してもらいながら彼を見上げれば、日に当たった髪の毛がきらきらと瞬いていた。 ミルクティーのような優しい色に、自己を主張するかのような眩い金が混じった色。 万華鏡を覗いて見える世界に憧れていた、幼い気持ちはもう終わっている。 自分にとってのきらきら、がいつしか変わっていることに気付いたのはとっくの昔だ。 「…そーご」 「んー?」 名前を呼べば優しい眼差しで応えながら頭を撫でられた。 「ふふっ、何でもない」 まだしばらくは、この温かい空気に包まれていよう。 万華鏡のむこう (そこに、あなたを見つけた) title:Fascinating |