ぽとぽとぽと。ざーざーざー。ぼんやりと起きた頭に雨の音が届いて、お昼寝する前と変わらないなあ、と思った。寝た時は明るかったはずの外が、もう薄暗くなっている。どれくらい寝たんだろう。重い体で時計のある方へ寝返りを打つと、目の前に精市の顔があった。ぱちくり。びっくりしてまばたきをする。ボタンのいくつか外されたYシャツと水色のベストが目に入って、ああ、そうだ、と思い出した。寝る前に読んだメールに、お見舞いに行くよって書いてあったんだった。テスト前週間でせっかく部活が休みなんだからいいよって言ったのに。起こしてくれてもよかったのに。そんなことを思いながらも嬉しくってほっぺがゆるむ。もぞもぞと体を下に動かして、こっちを向いて寝ている精市の胸元に折り曲げた腕と顔を埋めてぴっとりとくっついた。途端にふう、とため息が漏れる。安堵のため息だ。布団に包まるのと、精市の腕の中にいるのは、安心できるからすき。そのどっちもがある今は、ひどく心地良い。何からも守られているみたいな、手放しの安心感がある。まるで赤ちゃんになったみたいだ。ぽとぽとぽと。ざーざーざー。すぅ、すぅ。雨の音と精市の寝息が子守唄になってわたしの思考を溶かしていく。もう少し、寝てしまおう。きっと精市の分まで夕飯を張り切ったお母さんが、暫くしたら起こしてくれるだろうから。

(羊水でおやすみ/140705)

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