※成人、同居

「おかえり〜」
「ただいま。起きたんだ?」
「眠いけどね…。せーいちの声で起きた」
「ああ、行ってくるよ、で?」
「うん。何かいないの寂しくて変に目が覚めた。黙って行ってもよかったのに」
「起きて俺がいなくても寂しいんだろ?」
「…そうだけど」
「(かわいいなあ)なまえは行かなくてよかったの?せっかく二十歳になったのにさ」
「だって面倒だもん」
「行くんなら俺と一緒に行けたのに」
「それは考えたよ、精市と一緒なら行こっかなって。でもそういう面倒じゃなくて、んーと…わたし政治よくわかんないし、精市みたいに調べたり考えたりまでするのは面倒っていうか。で、もし考えて投票したとしてもさ、たった一票とはいえ、今後に関わっていくわけじゃん」
「そりゃあね。一票の積み重ねなわけだから」
「今まではニュース見て好き勝手に言えたけど、投票しちゃったら選んだ自分の責任みたいなのがついてきそうで、重いなって」
「なるほどね。そういう意味の面倒なんだね」
「うん。好き勝手に文句言う方が楽」
「なまえは変なとこで深く考える癖があるね。で結果逃げちゃうと」
「…耳が痛い」
「でもま、いいと思うよ」
「そういうとこも好き、とか言ってくれんの?」
「うん、なまえの弱虫なとこ俺は好き」
「…喜んでいいのかわかんない」
「自分で言って照れてるし」
「冗談だったもん」
「はは。それに俺がいるからいいんじゃないの」
「…どういう?」
「俺が守ってやるから安心しとけばってこと。逃げる時は俺の背中に来ればいいよ」
「気障すぎる」
「やっぱり?」
「うん。…ちょっときゅんとしたけど」
「ふふ、かわいい」
「あ、でもさ」
「うん?」
「背中じゃ寂しいから、ぎゅってして守って」
「…!(やだこいつかわいすぎる)」

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