もぐもぐ。冬と言えば、な代名詞のこたつに入ってみかんを食べながら私はテレビを凝視していた。まだかなまだかな。多分あと十秒くらい。…ご、よん、さん、に…タイトルが表れるのと同時におなじみのサウンドトラックが流れ出した。世界ふれあい街歩き。その街を歩いているかのような感覚を味わえる紀行番組だから、ゲストなんかはいない。ナレーションも説明をしたりするわけじゃなくて、あれは何だろう、どっちに行こう、と言ったり現地の人とお話したりするから、本当に自分が散歩をしているように楽しめる。初めてこの番組を見たときは感激して友人に電話したくらいだった。今日の放送はイタリアの旧市街。サン…なんたらかんたら。長くて難しい。いろんな国を見てみたけどやっぱりイタリアって素敵だ。そう思うのは昔に読んだ漫画に影響されてるからなのかもしれないけど、それを抜きにしたって素敵。教会に、海に、ヴェネツィア、ローマ、ミラノ。それくらいしか知識は無いけどいつか行ってみたいなあと思う。パスタとピッツァも美味しそう。buongiorno!ciao!と画面から聞こえてくる。温かくていいなあ。ううん、やっぱり行きたい。友人と行こうね〜って話してはいるがその割に私は全然バイトしてないし、就活もできてない。面倒くさがりなのだった。したいことばかりやってそれ以外は後回しにしてしまう悪い癖がある。学校も面倒でサボったりしてていたら欠時が多くて就活どころじゃなかった。あとはもう春休みに賭けるしかない。フリーターの可能性が高すぎる。イタリア旅行どころじゃない。あ、そういえば明後日提出の宿題まったく手を付けてなかった。怖い先生だから出さないとな。それに欠時多いから宿題くらいはしないと単位が危ない。ここまできて留年は笑えないぞ☆ とかなんとか考えている間にも画面は異国情緒溢れる風景を映し続ける。綺麗だなあ癒しだなあ。みかんの皮がタワーになった頃に番組が終わった。背伸びをすると腰がバキっと小気味良い音を立てる。大丈夫か私の腰。視界の端で緑に点滅するものがあった。この色はメールの受信お知らせだな。こたつに潜って携帯を開く。誰からか見ないで開けてしまったけど知らない人だ。本文には「おめでとう」とだけ。迷惑メールにしてはURLも何もない。スパムの当選メールを作ってる最中に間違って送信しちゃったのだろうか。画面を見ていたら眠たくなってきて携帯を閉じた。あ、そういえばお風呂まだだった…テレビを見てから入ろうと思ったのに寝ちゃだめだ…。とわかるけど眠いのは眠い。明日の朝入ればいいか。ああ、宿題もやんなきゃなあ…それも、明日、で……。



「おめでとう」
真っ白な世界で、自分すら認識できない中、声だけが聞こえた。何がおめでとうなんだ。迷惑メールもおめでとうだったな、と頭を掠める。夢を夢だと認識する夢ってたまに見るけど不思議だよなあ。
「世界ふれあい街歩き」
それも寝る前見たよね。白い中で声だけ、しかも言ってることは今日のおさらい的な。珍しい夢もあるもんだ。明日友人に言ってみようかな。世界ふれあい街歩きをこれからも見ろってお告げかもね、なんて。どこの回し者だよ。
「頑張って」
え、何を?番組の視聴?ああ寝る前と言えば、宿題しなきゃとか思ってたよな。宿題しなさいって自己暗示かもしれない。わかったわかった。
「ちげーよ」
ちげーよって何だよ。盗み聞きしてたのですか。何が違うって言うんだ、ねえ。
「うヴェえええっ!」
大きな奇声が聞こえるけど今までの声と違う。これは現実のほう?夢に目覚まし音が入ってきて起きることもあるし、そうかもしれない。お母さんがお越しにきたのかな。でもウヴェってわけわからない。奇声上げるほどの何かがあったとか?まだ起きたくないけど起きて確認しないと。微睡みを吹っ切って腕を伸ばしながら目を開ける。
「お母さんどうしたの、うるさいよぉ…………えっ?」
「…ヴェっ?」
えっ。もう一度目を閉じる。深呼吸、すってーはいてー、すってー。開眼。…いや、いやいやいやそんなわけないそんなわけない。奇声がお母さんの声どころか知人の声じゃなかったなんてそんな。上半身裸の男の人だなんてそんな。そんなバカな。だってあれだよ昨日は街歩きだよ?こたつだよ?こんなふかふかベッドなわけない。男の人なわけない。それとも記憶がないだけで未成年の飲酒しちゃって一夜を明かしてたりしたりとか?いやいや守り通した(わけでもないけど彼氏がいなくてまだあるだけ)の処女を知らない人に捧げてしまったなんて。おじさんだったらどうしよう、もうお母さんに会わせる顔がない…。恐る恐る男の人の顔を見たら思わず目を閉じてしまった。有り得ない。おじさん、ではなく美青年だった。とんでもなく顔が整っている。しかもどう見ても外人さんだ。一体昨日何があった私。びっくりした顔のまま見つめ合うこと数分、あのう、と切り出した。
「昨日、何があったんでしょう、か。それと、ここ、どこ…?」
「えっと、ね、ここは、俺の家。昨日は普通に普通の一日を過ごしたはずなんだ、けど…それにこんな可愛い子忘れるはずないし…ヴェ…?」
よかったラブホではなかった!と一つ解決したけど更なる問題が発生した。お兄さん(私よりは年上に見えるので)も昨日は普通に過ごしたと言ってる。私もそうだ。でもそれじゃあ辻褄が合わない。やっぱりお酒か?ちなみに可愛い子って言われてお世辞だろうとわかっていてもちょっとどきっとした。映画に出てそうなお兄さんに言われたんだもん仕方がない。
「お兄さん、昨日お酒飲みに行ったりは…?え、え、っち…とかしてない、ですよ、ね」
恥ずかしいけど聞くしかない。大事な問題だ。顔が熱いのを我慢して聞くとお兄さんの顔も赤くなった。
「しっ、してないよ!俺寝るときいつもこうだし、君も服着てるし、多分それは大丈夫だと…」
言われてから自分を見れば確かに記憶にある、昨日寝たままの姿をしていた。相手に気を取られてそこまで気にしていなかった。勘違いして恥ずかしい…でもそれどころじゃない。色々と。
「それに昨日、夕食のときにワイン飲んだけど家でだし…君は?」
「私も昨日、自分の家で寝たはずで…」



っていう連載書いてみたいなあと思って走り書きしてみたけどその前にやることが山積みですよね!って気付いたので多分ならない…でもまた時間あったら書いてみたい。
最後のほうごちゃっとしてきてわからなくなってきた。キーワードが世界ふryでしてみたかっただけの誰得。ほんとにな。
明日朝早いのでお休みなさい!サイト更新できてなくてごめんなさい><


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