10/09day | ナノ
ずっと一緒に…


☆*゚


「豪炎寺じゃねーか!来ないかと思ってたぜ。」

俺の登場に一瞬場の空気が静まる。一言目を発したのは染岡だった。無自覚だろうがコイツは場を和ませるのが上手い。

「久しぶりですね。染岡さん。」
「おぅ、虎丸も来てたのか!」
「二人とも、その姿では久しぶりだな。」

後ろから入ってきた虎丸と周囲との会話が始まる。だが俺の耳には入らなかった。俺は、いま綱波に抱きついているそいつに会いに来たんだからな。

「吹雪くん、豪炎寺くん来たよ。」
「いーよ。ぼくにはつなみくんがいるもん。」

ヒロトが話しかけるが反応は薄い。話に気になる内容があり、どういう事なんだ?と思わず綱波を睨む。俺と吹雪の関係はだいたいのやつが知っているはずだ。

「ち、ちげぇって。何もしてねーよ。」

酔った吹雪に抱きつかれたまま両手を小さく上げて無罪を主張してきた。

「い、いまさらなにしにきたのさぁ!…ぼくはほっかいどーに、かえるんだからなっ」
「吹雪…。」

綱波に抱きついたまま俺に向かって威勢づいてくる。吹雪に罵倒されようが何言われようがいい、だが吹雪が俺以外の誰かに触れているというその光景が気にくわない。

「ぼくのことほったらかしてたくせにぃ」
「吹雪、悪かった。」
「きみとのへやに、ずっとひとりだったんだよ?」
「ごめん。今までのこと全部、俺が悪い。謝る。……だから綱波から離れ…」
「あやまってすむならけいさつなんていらないんだよ。ごーえんじくんは、むきちょーえきだ!ううん。しけいっ!ぼくをかなしませたつみで、しけいだっ」

相当酔っているにしても、さすがにこれにはちょっと傷ついた。

「吹雪。黙っていなくなって本当にごめん。」
「………。」
「もっとちゃんと話すべきだった。」

周りが俺たちを見守っている事にも気づかず、俺は話始めた。だが吹雪が

「いまさら遅いよ」
「「「!?」」」


チュッと自ら綱波に口付けたのだ。

全員に緊張が走る。それが頭に来た俺は、ダンダンッと綱波に近づき慌てて逃げようとする吹雪の腕を掴んで引き寄せた。それだけは許せなかった。

「やっぱりダメだ。……吹雪、お前が俺をどう思っていようがかまわない。…だけど、俺以外の誰かに身体を許すな!」
「なにいって…っん!」

何か言おうとする吹雪の口を自分ので塞ぐ。酔っているせいか抵抗が鈍い。

「ん、……んん……ぁ…」
「……っは、…」

後頭部に手を回して、酸素を求めようと少し開いた口に舌を入れる。

「クチュ、!んぁ……はふ…クチュクチュ…ぁぁ…」
「…はぁ…ふぶき……。」

いきなりのキスシーンに周囲騒然。でも止められない。久しぶりのこの感覚、この場で吹雪の存在を一番近くで直に感じている。

「っん……はぁっ!」

しばらくして口を解放してやると、もう立っていられないと言うように吹雪の膝が崩れる。支えるように俺も一緒に座りこむ。その際腰を引き寄せて胡座をかく俺の足を跨ぐように向かい合わせで座る。
まぁ簡単に言えば対面ざ…ごほん。

「ごーえんじくんのばかぁ」

さっきまで怒って叫んでいた吹雪だが、今度は泣いて俺にしがみついてきた。
背中を撫でてやりながら体型を確認する。撫で肩、痩せた肩甲骨、細い腰、前より少し運動をしなかったせいか解れてきた太ももやふくらはぎ。

そして触れながら泣きじゃくる吹雪の耳に唇を近づけ告白する。

「何度も会いに行こうとした。…でもダメなんだ。俺は、お前といるとその優しさ甘えてしまうから。……いや、今までもそうだ。」
「……ひっく……うぅ」
「お前が、……吹雪がいないとダメなんだ。好きだ。」
「!……」
「ずっとこうしたかった…。」

周りに聞こえるかどうかの音量で囁く。

「ぼくだって、さみしかったもん」

吹雪が涙声で呟く。緊張する場面とは似つかわしくない可愛い声で。

「ずっと、、さみしかったもん」

んー。と吹雪の腕が背中に回って力が入る。
さすがに、いつまでもこの雰囲気はまずいと感じたのか鬼道が、やれやれと言った様子で「じゃあもう一度乾杯するか。」と眠った円堂に布団をかけながら周りに言った。それに口火を切られたかのように皆がまたごちゃごちゃし始める。

それでも二人の空間のみ時間は続き、俺は優しく吹雪を抱き締め直す。

「俺もだよ。吹雪がいなくて、ずっと寂しかった。……今まで、ごめんな。」
「……ん。」
「また、お前の側にいてもいいか?」
「………うん。」
「俺のこと、許してくれる?」
「………だめ。ゆるさない」
「……え」

吹雪は少し身体を離し、おでこをくっつけながら瞳を覗いてくる。その仕草が愛しい。触れてしまうかと思うほど唇を近づけてくる。
言葉とは違い甘い空気が流れる。発する声さえも涙混じりでしたったらずで、呂律が上手く回っていなく艶やかに聞こえる。

「ごーえんじくんしけいだもん。ぼくがしっこうにん。」
「……それで?」
「だから、ごうえんじくんがしぬまで僕が側にいるの。」
「じゃあ俺も、お前が死ぬまで側にいる事にする。」
「…え、ふふ。ほんと?」
「あぁ。もういなくならない。」
「破ったら?」
「破らない。」

合間にキスをしながら話す。
吹雪、吹雪って…頭の中そればっかりだ。

「……あのね、しゅうや」
「ん?」

眠くなってきたのか、くったりと身体にもたれかかってきた。

「……おかえり。」

吹雪はそのまま、すぅと眠りにつく。

「ただいま。」

眠ってしまった吹雪に囁く。
俺を待ってくれる人達がいる。そして俺のために怒ったり泣いたり叫んだり…。

「吹雪、ありがとう。」


「あー…豪炎寺、もういいか?」
「ん?…あぁ。いたのか。」
「いや、さっきからいるんだが。」

鬼道に話しかけられ、
あぁ、そういえば。と言った感覚で辺りとの壁が崩れた。


「もう吹雪を泣かすなよ。」
「あぁ。」
「吹雪意外と酒癖わりぃんだなあー!びっくりしたぜー!」
「綱波、お前には話がある。」
「だから何もしてねぇって!」
「吹雪寝ちゃったね。」
「さわるな。」

吹雪に伸ばされたヒロトの手をパシッと叩く。

「吹雪さん寝ちゃったんですね。」
「あぁ。車を頼む。」
「はい。」

虎丸に車を呼ばせ、眠ってしまった吹雪を姫抱きにする。

「なんだ、もう帰るのか?」
「染岡。。また今度呼んでくれ。」

よいしょっと持ち上げると予想よりも軽い体重が少し心配になる。


仲間に見送られ足早に車に乗った。
窓から見る景色は何度も見てきたはずなのに、気持ちが違うだけでかなり変わる。それも吹雪がいるからだ。

「んん…。」

肩に寄りかかって寝ている吹雪に触れるだけのキスをする。

もういなくならないから。
俺を待ってくれた以上の、俺を好きで居続けてくれた以上の愛で吹雪を幸せにするよ。

14歳からずっと、俺たちの気持ちは変わらなかった。きっとこれからも。

来年、いやその先、これからずっと一緒にいような…。





たくさんの拍手ありがとうございました!
24豪吹書いたの初めてくらいなので読みにくい部分もあったかもしれません誤字脱字ありましたら連絡下さい。
愛だけはたくさん詰めました!
これからも豪吹愛でていきます(≡^∇^≡)





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